ホームニュース一覧2012

佐世保市議会、地位協定改定請願を否決

 佐世保市平和委員会と佐世保原水協は、佐世保市議会3月定例会に、「日本における米軍関係者のすべての事件・事故を日本の法と司法によって厳正に裁くことができるよう求める」請願を提出し、(1)日米地位協定第17条3項の不公正な規定を改定する。(2)日米地位協定上の密約を破棄する趣旨の意見書採択を求めました。

●趣旨説明では手応えがあった
 3月15日の市議会基地対策特別委員会で、私たちは請願の趣旨を説明しました。委員からの「密約」を重大視して密約文書提出を求める意見、「密約」を疑問視して密約である証明を求める意見により、委員長は「密約」文書などの追加提出を求めました。私たちは、新原昭治さんが、米国立公文書館で発見・入手した「1953年10月28日、日米合同委員会裁判権分科委員会刑事部会の日本側部会長の声明」などを追加提出しました。これを受けて同委員会は3月21日に再度審議をしたようです。

●委員会では「不公平といえない」と不採択
 3月23日の本会議で本件も議題になりました。請願を審査した基地特委の委員長は「請願採択に賛成する意見もあったが、17条3項の規定は外国軍隊についての国際法上の慣例になっている、不公平とは言えない、また日米間の合意によって運用の改善がされている、『密約」については外務省が、そういう合意はしていないと表明している、等の理由で敢えて請願を採択する必要はないとの意見があった。委員会は賛成少数で不採択とした」と報告しました。

●不公正を正すのは当たり前…山下議員が討論
 本会議で討論に立った山下千秋議員(日本共産党)は、「地位協定17条が不公平でないとは驚く」と批判し、地位協定の内容を明らかにして「不公平な治外法権を正すのが当たり前だ。これを慣例だとして自衛隊が外国に押し付けていることこそ危険極まりないことだ。実態でも米兵犯罪の起訴率は低い。被害者の悔しさを思うべきだ」、「『密約』に関しては、提出した追加資料をみれば明らかだ。密約と認めない外務省の態度は国民を欺くものだ。一般マスコミもそう指摘している」と述べ、請願への賛成を議場に訴えました。
 採決の結果は、日本共産党と社会民主党の議員が賛成しましたが、賛成少数(5人)により請願は採択されませんでした。

●平和市長会議加盟にも背を向ける
 なお、私たちは、この議会に「平和市長会議加盟を勧告する決議を求める請願」も提出しました。被爆県長崎で唯一加盟していない佐世保市長に議会からの加盟勧告を求めたものですが、審査した文教厚生委員会は賛成少数で不採択、本会議では、共産・社民のみの賛成(5)少数で採択されませんでした。

(2012年3月24日)


 請願 第22号

2012年2月24日

佐世保市議会議長 永山 正幸 様

請願団体 住所  佐世保市万津町7-46
団体名   佐世保市平和委員会     
会長 篠崎義彦

住所  佐世保市万津町7-46
団体名 原水爆禁止佐世保協議会     
事務局長 仲村真二

紹介議員 山下 千秋

日本における米軍関係者のすべての事件・事故を日本の法と司法によって厳正に裁くことができるよう求める請願について

【請願主旨】

 米軍関係者(米軍人、軍属、家族)の日本国内での犯罪について、米軍が「公務執行中」と認定すれば、刑事事件の第1次裁判権を日本が放棄せざるを得ない日米地位協定第17条3項の不公正な規定が、重大な悲劇を生み出しています。

 昨年1月沖縄で、米軍属の運転する車が19歳の日本人青年の車に正面衝突し、その青年の命を奪ったが、米軍属は米軍によって「帰宅途中」=「公務執行中」と認定され、日米地位協定にもとづき那覇地検は不起訴処分としました。

 このことは、米軍基地がおかれている佐世保市の市民にとっても切実な問題であります。

 私たちは、日本における米軍関係者のすべての事件・事故を日本の法と司法によって厳正に裁くことができるよう、日米地位協定を抜本的に改定することを、日本政府に強く求めるものです。

 また、日米地位協定上、第1次裁判権を日本が有する米軍関係者の「公務外」の事件・事故についても、「日本にとって著しく重要と考えられる事件以外に ついては第1次裁判権を行使するつもりがない」とする、日米間の密約の存在も明らかになっています(1953年10月28日、日米合同委員会裁判権分科委員会刑事部会の日本側部会長の声明)。

 日本国民の人権を守るため、貴議会が、請願事項の趣旨の意見書を決議してくださいますようお願い致します。

【請願事項】

  1. 日米地位協定第17条3項の不公正な規定を改定する。
  2. 日米地位協定上の密約を破棄する。

上記の趣旨の意見書を決議すること。