ホームニュース一覧2011

再稼動には周辺自治体と住民の合意を!

佐世保市議会が全会一致で意見書を決議

 佐世保市議会は、9月定例会の最終日(9月30日)の本会議で、佐世保原水協と佐世保市平和委員会が提出していた「玄海原発再稼働に関する請願」(紹介議員=山下千秋議員・日本共産党)を全会一致で採択しました。そして、この請願の趣旨に基づく「玄海原子力発電所の再稼動に関する意見書」を全会一致で決議しました。

【再稼働許すなの一点で】

 請願は、現在の原発の技術は未完成であり、ひとたび大量の放射性物質が放出されれば、被害は深刻かつ広範囲で、将来にわたっても影響を及ぼすことを指摘し、東電福島第一原発の事故は、その危険性を国民に事実でもって明らかにしたと述べています。そして、その福島原発の事故が、収束もしていないのに、九州電力が玄海原発2,3号機を再稼動するために、「やらせ」行為までしている不誠実な態度を批判し、立地自治体だけでなく、事故の際に被害が予想される周辺自治体の合意なしには再稼動させないこと、さらに、今回の原発事故に照らし、現行のEPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)の見直しが必要であることを強調し、九電と政府あてに、以上の趣旨を含んだ意見書を決議するよう市議会に求めています。

 9月26日、請願の付託された総務委員会で、佐世保原水協と佐世保市平和委員会の代表が出席して、趣旨説明をしました。委員からは「脱原発の立場なのか」「住民多数が再稼動を認めた場合はどうするのか」など質問がありました。私たちは「この請願は、脱原発かどうかの問題ではない」「再稼動はすべきでないと考えるが、住民多数の合意には従う」との立場を示しました。また委員から助言的な発言もありました。

【請願も意見書も全会一致で可決】

 総務委員会の議論では、「請願の趣旨の文中に断定的な表現がある」などの批判もあったとのことですが、全会一致で採択されました。それに基づく意見書は、政府宛てのみとして、案文は委員が原案を作成して委員会が決定しました。

 30日の本会議では、総務委員長が、委員会で採択を決定した経緯を報告し、山下千秋議員が賛成討論を行い、全員異議なく、全会一致で採択されました。そしてその後の議題の中で、意見書案が上程され、全会一致で可決されました。

 可決された意見書は、東電福島第一原発の事故から6カ月が経過したが、なお深刻な事態から脱するに至っておらず、国民の不安は解消されていない。九州電力玄海原発2,3号機の運転再開に向けた説明会での「やらせメール」などもあり、市域の一部が玄海原発から30キロメートル圏内にある佐世保の市民に不安と不信が広がっていると述べています。

 また、福島原発事故後の政府の対策を見るとき、これまでの原子力防災の考え方では到底説明がつかない事態になっていると指摘しています。

 そして、国に対し、玄海原発の再稼動を決定する際には、周辺地域住民の安全・安心を確実に確保するため、現在のEPZの見直しを行うとともに、立地自治体はもとより周辺自治体と住民の合意を得ることに特段の措置を講じることを強く要望しています。

【6月議会では否決された】

 実は、原発問題に関する請願は、6月市議会にも提出しました。このときは、今回と同じ問題認識を示したうえで、(1)1号機の永久停止、(2)地震・津波に対して、万全な対策がない限り2号機の再稼動見合わせ、4号機の運転見合わせ、(3)3号機のプルサーマル発電中止、(4)政府が原発からの撤退を決断し、原発をゼロにする期限を決めたプログラムをつくること、などの申し入れをするよう求めるものでした。

 この請願について、総務委員会では、「多くの電力を原発に頼り、代替エネルギーの確保策も確立されていない中、即時廃炉となると、経済や市民生活にも多大な影響を与えるため、この請願に賛同できない」という意見に同調する委員が多数で、不採択の結論でした。本会議でも、賛成少数(共産党、社民党)のため不採択でした。

【請願可決は世論の反映】

 9月市議会への請願は、「原発ゼロ」の主張はしなかったものの、原発問題についての認識は6月の請願と変わっていません。玄海原発2、3号機再稼動に周辺自治体とその住民の合意を条件とすることは、現在の世論を踏まえれば、再稼動中止を意味します。従って、9月市議会が、私たちの請願を採択したことは、6月市議会から、原発問題では進歩したと評価できます。

 このことは、原発被害が続き、拡散している深刻な状況、政府と電力会社が国民に不誠実な対応に終始している経過、原発依存政策への不信、再生可能エネルギーへの展望など・・・を自覚した国民の、この間の意識の変化=世論の変化の反映と言えるのではないでしょうか。

(2011年10月3日)


玄海原子力発電所の再稼動に関する意見書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故から6カ月が経過しましたが、引き続く放射性物質の放出や汚染水処理の遅れなど、なお深刻な事態から脱するに至っていません。そして、放射能による広範囲にわたる土壌汚染の実態や、牛肉をはじめ、米や野菜などの食物の放射能汚染など、国民の不安は解消されていない状況であります。

 こうした中、国が電力事業者の緊急安全対策について「適切」と判断したことを受け、九州電力は定期検査中の玄海原子力発電所2,3号機の運転再開の意向を示しました。

 ところが、運転再開に向けた説明会において、九州電力による、いわゆる「やらせメール」の事実が明らかになり、玄海原子力発電所から30キロメートル圏内に市域の一部を抱える佐世保市民に原子力発電に対する不安と不信が広がっています。

 また、福島第一原子力発電所の事故では、当初半径10キロメートル圏内の避難指示であったものが、すぐさま20キロメートル圏内に拡大され、さらに20キロメートルから30キロメートル圏内は屋内避難、自主避難と次々に対象範囲が拡大され、これまでの原子力防災の考え方では到底説明がつかない事態となっていることから、国民保護の新たな取り組みが早急に求められているところであります。

 よって、国におかれましては、玄海原子力発電所の再稼動を決定する際には、周辺地域住民の安全・安心を確実に確保するため、国は正確な情報と知識を示し、現在のEPZ(防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲)の見直しを行うとともに、立地自治体はもとより周辺自治体と住民の合意を得ることに特段の措置を講じるよう強く要望いたします。

  以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

   平成23年9月30日

佐世保市議会議長
永 山 正 幸


請願 第15号

2011年9月8日

佐世保市議会議長 永山 正幸 様

請願団体 住所  佐世保市万津町7-14
団体名 原水爆禁止佐世保協議会
事務局長 仲村真二

住所  佐世保市万津町7-14
団体名 佐世保市平和委員会
会長 篠崎義彦

紹介議員 山下千秋

玄海原発再稼働に関する請願について

【請願主旨】

 東京電力福島第一原子力発電所の事故は、原発の危険性を国民の前に事実をもって明らかにしました。

 現在の原発の技術は本質的に未完成で、きわめて危険なものです。原発は莫大な放射性物質(死の灰)をかかえていますが、それをどんな事態がおきても閉じ込めておく完全な技術は存在しません。そして、ひとたび大量の放射性物質が放出されれば、被害は深刻かつ広範囲で、将来にわたっても影響を及ぼします。

 その福島原発事故はなお収束しておらず、放射能汚染のため周辺住民は危険と不安にさらされ、住民の避難により地域の崩壊さえ生じています。

 それなのに、九州電力は、玄海原発の休止している原子炉運転を再稼働させようと原発立地自治体の佐賀県などに容認を求めるために、いわゆる「やらせ」行為さえ行っています。ここには「安全神話」を振りまき、これだけの大被害を引き起こした電力事業者としての反省や責任など微塵だに伺えません。許し難い態度です。

 いったん事故が発生すれば、原発立地自治体住民だけでなく、広範な周辺自治体住民も深刻な被害を受けることになります。

 福島原発事故被害をくりかえさないために以下のことを強く求めます。これらの趣旨をこめた意見書を決議され、九州電力や関係官庁に提出されますよう請願いたします。

請願事項

  1. 玄海原発を、周辺自治体と住民の合意と納得なしに再稼働させないこと。
  2. 現在のEPZの見直しを行うこと。