9月16日〜19日、海上自衛隊の「砕氷艦しらせ」が長崎に寄港しました。「しらせ」は文部科学省予算で南極観測船として建造され、運航は海上自衛隊が行い、所属は横須賀基地です。自衛隊の本来任務ではなく、自衛隊法の雑則として「南極地域における科学的調査について、輸送などの協力を行なう」との位置づけです(第百条の四)。海自乗組員約180人、観測隊員約80人が乗船します。一般に「南極観測船」として通っていますが、観測隊員や作業に必要な器具、食料など物資の輸送が主な業務となっています。
17、18日に行われた一般公開には「南極観測船」「南極の氷」「南極の石」を目当てに大勢の市民で賑わい、1万2千人が訪れました。しかし唖然としたのは乗艦する一人ひとりに「自衛官募集案内」のしおりを手渡されたことです。本体の「しらせ」のリーフは艦内に山積みでした。「しらせ」は参加していないのですが艦内には自衛隊の東日本大震災の支援活動の写真がたくさん並べられました。(砕氷艦や南極に関する展示はもちろんありましたが)。艦外でもお決まりの「制服試着コーナー」があり、明らかに南極観測船を出しにして本来の姿をオブラートに包んでの広報活動です。
入港歓迎行事で行った 「しらせ」艦長(海上幕僚監部)の「南極での調査の成果について理解を深め、はるか遠い南極に思いをはせてほしい」という挨拶がしらじらしく聞こえます。
(2011年9月19日)