8月5日朝のNHK報道で、米軍が「トモダチ」作戦の際に福島第一原発からの放射能で汚染された航空機などを除染をしたときの低レベル放射性廃棄物を佐世保基地に保管していることが明らかとなりました。場所は赤崎貯油所内の倉庫といいます。
米海兵隊が計測した航空機73機のうち25機で除染が必要で、作業には1ヵ月かかったといいます。(共同通信:6月21日)
佐世保市基地政策局はこの事実を全く承知しておらず、8月4日に報道機関(NHK)からの問い合わせがあり、外務省日米地位協定室に確認を要請しました。
外務省からは電話で「米軍が佐世保海軍施設に保管している物は『トモダチ作戦』で活動した航空機等を除染した際に使用した布等と承知している。これらは、福島第一原発由来のものであり、東京電力を含む日本側が責任を持って処分すべきものであるが、現在その具体的な処分方法については日米間で協議しているところである」と回答がありました。
また外務省は廃棄物の搬入時期や量を明らかにせず、「保管している物の放射線レベルはごく低いものであり、適切に管理、保管されており、例えば佐世保海軍施設周辺の放射能モニタリング・ポストにおいても全く異常値は観測されておらず、安全性には心配ない」と述べるにとどまっています。
同様の放射性廃棄物が米海軍厚木基地やいくつかの自衛隊基地にも持ち込まれているといいます。しかし佐世保市は米原子力空母や原子力潜水艦が多く出入りし、市民は日常的に放射線に対する不安を抱えています。それが今回の福島の原発事故で、いっそう敏感になっています。そこに放射性廃棄物を持ち込んでくるとは、米軍と外務省はなんと無神経なのでしょう。佐世保市も事前の説明がなされるべきであったとし、外務省に抗議、廃棄物の早急な処分を申し入れました。
佐世保平和委員会と原水協は佐世保市へ申し入れを行い、真相究明と情報公開、放射性廃棄物の速やかな撤去、日本政府への抗議の3点を要望しました。
(2011年8月6日)
佐世保市長 朝長 則男 様
放射性廃棄物の問題についての申し入れ
2011年8月5日 原水爆禁止佐世保協議会 理事長 山下千秋
佐世保市平和委員会 会長 篠崎義彦
5日のNHK報道では、東日本大震災救援活動の際、福島原発事故の放射能影響を受け、除染した時の低レベル放射性廃棄物が、米軍佐世保基地に持ち込まれ、保管されているとのことです。
米軍基地運用の問題ではありますが、ことは放射能にかかわるものです。市民の安全にかかわる問題が、市民の知らない間に、勝手にされることを座視するわけにはいきません。また、放射性物質は、日本の基地には出さないとした日米両国間のルール=エドメモワールにも抵触する疑惑もあります。徹底した真相解明と情報公開を求めます。早急な放射性廃棄物の処分を求めます。佐世保市民の安全を無視した米軍と日本政府に対し、厳重な抗議を行うことを求めます。
私たちは、4月に原子力空母が佐世保に集中的に寄港した時、横須賀で行われていた放射性廃棄物の持ち出しが、佐世保で行われるのではないのか、という懸念を表明しておりました。今回の問題は、原子力空母の定期修理にからむ放射性廃棄物とは、別の要因のようですが、危険な放射性廃棄物が持ち込まれたという点では、共通するものです。
報道では、佐世保市の照会に対し、外務省は、(1)適切に保管されている。(2)日本政府が適切に処理する。とされています。
横須賀での原子力空母の定期修理の際、発生した放射性廃棄物は、米軍が専用の貨物船でアメリカ本国に持ち帰るということになっています。今回は日本政府が処分するとなっています。なぜこんな違いが生じるのか、疑問です。以下要望します。福島においては除染したものをどう処理するのか、大問題になっています。
いずれにしても、日米両政府の責任できちんと処理することを強く求めます。
要望事項