6月18日、長崎県平和委員会は2011年度定期総会を開きました。
日本平和委員会全国理事の山下千秋さんが「2つの原子力問題に直面する佐世保基地ー動く原発と核出撃基地ー」というテーマで記念講演を行ないました。
山下さんは、佐世保は玄海原発と“動く原発”である原子力空母と原潜から放射能被害を受ける危険とともに、核攻撃の出撃基地として新たに被爆者をつくりだす加害の側面もあると指摘しました。
原子力空母は事故を起こした福島第一原発1号炉と同じ大きな原子炉出力を持ち、次の点で陸上の原発よりも大きな危険性をはらんでいるといいます。(1)作戦に従って推力を変えるので核分裂の量を絶えず変動させる、(2)ウランの濃縮度が核兵器以上の97%、(3)狭い艦内ゆえ安全措置に限界がある、(4)原子炉そのものが海上で揺れる。
山下さんは、福島原発事故について日本政府の対応に憤りを感じるが、不十分ながらも情報を提供している。しかし厚い軍事機密のベールに包まれている米原子力艦船については「アメリカから安全だと言っているので、信頼する」としか言わない。軍事行動を最優先する米軍のいいなりで全く信用できない。それでも横須賀では米軍の横暴に一定の制約をかけている。それも原子力空母ノーの運動があったればこそ、と述べました。
最後に山下さんは、国際問題研究者の新原昭治さんの「核被害への想像力と、核兵器を使おうとしている勢力の動きについてのリアルな認識を研ぎ澄ます」という言葉を引き、佐世保でも、“動く原発”の危険性をリアルにつかんで情報を広く発信し、原子力艦船の入港にきっぱり「ノー」という世論を多数にするための運動を強めようと呼びかけました。
(2011年6月19日)