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憲法を活かして平和行政の推進を

長崎自治労連が県内「憲法キャラバン」


佐世保市との懇談

 長崎自治労連は長崎県春闘共闘会議と共に、5月16日から6月1日まで県内「憲法キャラバン」を実施し、19自治体を訪問しました。要請行動の中心は、憲法9条の平和行政のあり方、同25条関係の基本的人権=社会保障の状況を把握するというもので、今年4年目の取り組みとなりました。ここでは平和行政や平和教育について懇談した内容に絞って、いくつかの自治体を紹介します。

【佐世保市】
 佐世保市側は、佐々木行財政改革推進局次長ほか13名が出席し、約1時間の懇談を行いました。
 平和行政については、憲法前文や9条の主旨を遵守し平和行政を進めているとして、具体的には、市役所1階ロビーでの「佐世保空襲写真展」などの開催。8月9日登校日には「平和集会」や「平和学習会」などを各校で実施していると述べました。(写真上)

 この中で、4月に原子力空母が3度も寄港した問題で、佐世保市の考え方を尋ねましたが、基地担当部門は今回出席していないとして、回答を避けました。しかし、モニタリングポストの増設については対処したいと述べました。

 また原発関係で、松浦市を中心に周辺7市でEPZ拡大の要望など行っている。地震や津波、台風など防災関係は消防が担当しており、国や県の計画との連携が必要だと思っており、状況に応じて対応することになると語りました。

【川棚町】
 憲法9条に関して平和行政の内容であるが、国に準じて行っているという程度であった。被爆県として平和を追求する姿勢は変わらないとしました。また8月9日の小中学校登校日は、以前は土日を除外していたがその後改善し9日登校を決めた。

 基地問題については、基地労働者の存在があるとして、共存の声もあるのではないかとした。自衛隊の訓練誘致については特に考えていないが、となりの東彼杵町に大野原演習地があることから、合併話しが出てきた時に浮上するのではないか?と語りました。

【東彼杵町】
 教育委員会から小中学校の平和教育について説明してもらった。8月9日は各学校で平和教育の一環として、戦争体験者の語り部などを実施しており7月から準備している。平和に関する劇なども実施しており、学校の体育館ではなく町内の文化ホールを使った開催なども行っている。戦争や原爆など、風化させないようにしないといけない。町長が替わっても、このことについては変わらないとしました。東彼杵町では平和行進時にも町長が出迎えに出るなど、可能な限り町長は出るようにしていますと語った。

 自衛隊の訓練地問題では、「基地協力会」の会合で出たことがある。町内に大野原演習地があり、600平米が東彼杵、100平米が嬉野市となっている。地元も理解を示しているところだとしました。

【大村市】
 従来どおり、平和に対する行政のすすめ方は変わっていない。平和市長会など、各市との連携もしながら進めている。普天間基地代替も動きもなく、市長の受け入れ拒否の考えも変わっていない。
 懇談の中で、自衛隊の通勤時や平時での軍服(作業服?)姿が目に付くようになり、違和感を覚えるので改善の申し入れをして欲しいと要望しました。また、ヘリコプターの騒音問題でのやり取りでは、今年度に入って防衛局との協議会の席で、滑走路の改善などの申し入れを行ったとのことであった。両者(市民と行政)の認識に開きが感じられた場面ではあった。(写真下)

【諫早市】
 平和行政の推進は公務員としての基本であり、平和市長会議などへの加入など、他都市と同じように進めている。市役所そばの高城公園には、被爆の木を植栽しており、記念碑も設置している。学校では、8月に「平和を考えるつどい」として、原爆写真展をはじめ、被爆者の語り部などを行っている。

【時津町】
 時津町では平瀬研町長が自ら対応しました。
 平和行政は自治体=公務員だからこそ出来る職務であり、民間で出来るものではない。子どもたちに対して、過去の歴史に学び、平和な未来につながる取り組みをしなければならないと考えている。先日のアメリカの核実験についても抗議電を打ったところであり、条例制定を期に積極的に取り組んでいる。常に平和についてアピールする方法を考えている。(写真下)

【長与町】
 原爆体験DVDがこのほど完成した。昨年来取り組んできたもので、町としても例年通り予算も確保して平和行政について進めているところ。長崎・広島の被爆体験を受け継ぎ、情報を発信していく役目があると考えている。

【対馬市】
 本来は大浦義光副市長が応対される予定でしたが、急用のため残念ながらお会いすることができず、平山総務部長以下、3人の方と対談を行いました。
 平和の取り組みについては、非核宣言都市であり、夏休みの子どもたちの登校日は8月9日と15日で、平和について学ぶことについては他の自治体と変わりはないが、特別な取り組みはないとのことでした。しかし一方で、自衛隊については議会と市をあげて施設面や訓練など増強を求めているということで、国境の街ならではの課題もみられました。佐世保市や大村市と同じように自衛隊基地を持つ自治体との懇談の持ち方については、今後検討が必要だと感じた一面でした。
 一方、玄海原発からは100kmを超えて離れているため、原発に関する議論は特にないが、NUMO(放射性廃棄物)の受け入れ問題について、受け入れを進めようとする市民グループの存在もあるとして、労働組合などが学習会を開いているとのことだった。(写真下)

(2011年6月4日)