4月19日、佐世保市長選挙・佐世保市議会議員選挙が行われている真っただ中、米原子力空母ロナルド・レーガンが佐世保に寄港しました。空母の寄港は3週続けてという異常な事態です。
洋上で修理中だったジョージ・ワシントンの2回の寄港時に飛行甲板にあったのは消火訓練用の戦闘機の模型1機だけでした。しかしロナルド・レーガンは艦載機満載での通常入港でした。護衛用の随伴艦の巡洋艦チャンセラーズビルと駆逐艦プレブルも相次いで入港しました。
レーガン空母打撃群は3月9日に米第7艦隊と合流、米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」(2月28日から4月30日)に参加する予定でした。しかし3月11日の東日本大地震を受けて開始した「トモダチ作戦」に派遣が決まり、急きょ進路を変更しました。
ロナルド・レーガンは放射線被害を避けるように福島第一原発から230km(125カイリ)離れた三陸の、沿岸から37〜56km(20〜30カイリ)地点で海上自衛隊と共同で支援活動を展開。役立ったのは主に艦載ヘリで、飛行甲板をプラットホームにして被災者の捜索・救難活動と支援物資の大量輸送を担いました。逆に攻撃能力に優れた多数の戦闘機はほとんど役に立たず、FA18戦闘機が被災地の上空写真を撮影し、被災者の確認を行ったとだけ報道されています。
佐世保市長は「ゆっくりと休養をとっていただきたい」と歓迎のコメントを発表、選挙中にもかかわらずロナルド・レーガンに乗艦して表敬しました。
しかしレーガンは4月4日夜に支援活動を終了し、通常任務に復帰しました。その2週間後の戦闘機を満載した佐世保寄港であり、軍事訓練のあとの「休養・補給・維持」に他なりません。
4月8日、レーガンと随伴艦の巡洋艦チャンセラーズビルと駆逐艦プレブルがフィリピン海でインド海軍との軍事演習「マラバル2011」に参加しています。すでに4月3日から駆逐艦ステザム、スタレットとフリゲート艦ルーベン・ジェームズと攻撃型原潜が参加中でした。その後、当初の予定どおり佐世保に寄港したのです。
支援活動中のレーガンの飛行甲板はがらがらでした。米軍の支援活動には感謝はしますが、災害救助に軍事力も武器も必要はありません。
(2011年4月20日)