防衛省が海上自衛隊の潜水艦部隊を6隻増とする方針を打ち出したのを受けて、11月17日、朝長則男・佐世保市長は安住淳・防衛副大臣と面会して、潜水艦基地誘致を考えていることを伝えました。
また25日は藤井健・副知事と末竹健志・佐世保副市長が安住副大臣に潜水艦部隊誘致を求める要望書を手渡しました。
佐世保市長は「昨今の国際情勢や地勢的にも、佐世保港は東シナ海・南西海域を見据えた海上防衛の要衝であり、呉、横須賀に次ぐ新たな潜水艦隊群を設置するとした場合、適地と考えられる」としています。そして経済効果についても「副次的にはある」と述べています。安住副大臣は「市の考え方については聞いておきたい」と述べるにとどめたといいます。
潜水艦の配備予定地は崎辺地区のLCAC駐機場(佐世保海軍補助施設)です。
西海市の米海軍横瀬貯油所海域内ではLCAC新駐機場の建設が進められており、12年3月までに完成予定となっています。現在、崎辺地区に駐機しているLCACが移転した跡地に潜水艦基地を誘致しようというものです。
米軍からの返還や跡地利用について具体的な計画は決まっていませんが、すでに04年に佐世保商工会議所が潜水艦基地の誘致方針などを打ち出し、08年にも崎辺の海自施設化を市に要望しています。一方、佐世保市はかねてから崎辺地区に950メートルの桟橋建設計画があり、LCACが移転した跡地に海自施設を集約する構想を持っています。昨年7月には市と市議会が跡地に海自施設を建設する要望を国に出しています。
海自潜水艦は、呉に第1潜水隊群9隻、横須賀に第2潜水隊群7隻の計16隻が配備されています。防衛省は活発化する中国海軍の東シナ海での動きを「脅威」として12月にまとめる新たな「防衛計画の大綱」に22隻態勢に増やすことを明記する方針です。
しかし「軍事力には軍事力で対抗する」という姿勢は逆に日本とアジアの緊張激化を招く危険なものです。東シナ海から生み出される権益は日本だけのものではありません。アジア諸国との共存共益をはかることこそが解決への道です。
またこれまで基地に依存した経済で佐世保の発展は維持できたでしょうか。むしろ港の発展に支障を来し、国の「重点港湾」に漏れたことを自覚すべきでしょう。
もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、米軍から返還されたものです。この間、米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に一部再提供となりましたが、それが再返還となれば、民間・公共施設として活用が図られるべき性格のものです。
(2010年11月26日)