5月7日〜10日に海自の「輸送艦おおすみ」(乗員126名)が常盤埠頭に接岸し、広報活動を展開しました。艦内には米軍と同じLCAC2隻を搭載したまま一般公開を行いました。
【盛んな広報活動】
艦内で上映されていたビデオにはLCACが災害時に役立っていることを強調し、ロック調の音楽を流すなど、明らかに若者をターゲットにしています。また子どもに海自制服を試着させて記念撮影させたり、「自衛隊に関心のある13歳から27歳未満までのキミ」 「インフォメーションカード」に記入すると「記念品をプレゼント」「ご両親による記入もOKです」などと、自衛隊勧誘への足がかりをつくっていました。
自衛隊が、米軍と一体となって海外派兵の道を邁進しようとしている実態は隠しつつ、「やりがいのある仕事」と称して若者に接近していることには注視していくことが必要です。
【明らかに揚陸艦】
おおすみ型輸送艦は米強襲揚陸艦エセックスを小型にしたものと言っていいでしょう。船首から船尾までのヘリ用甲板、対空マシンガンCIWS、LCACの搭載、そして医療用施設—集中手術室・歯科治療室など海自艦で最大規模の医務室を備え、90式戦車10両と約300人の陸自隊員を輸送可能です。
06年秋に行われた日米共同演習では、米海兵隊から直接手ほどきを受けている佐世保の西部方面普通科連隊を硫黄島まで輸送、尖閣列島奪還訓練を行っています。
【はじめから海外派兵想定】
おおすみ型輸送艦はそもそも海外派兵を想定してつくられ、実際に運用してきました。
「おおすみ」は就役直後の1999年にトルコで発生した地震被害への援助として仮設住宅の輸送を行い、02年には、東ティモールへ陸自PKO部隊を輸送しました。03年には2番艦の「しもきた」が報復戦争支援のテロ特措法に基づき、タイの陸軍工兵部隊と建設用重機をインド洋沿岸へ輸送。04年にはイラク特措法に基づき、陸自がイラクで使用する軽装甲機動車や給水車など車両70台をクウェートまで輸送しています。
(2010年5月10日)