3月25日、佐世保市議会は核密約問題で国に6項目の質問事項に「誠意ある回答」を求める意見書を全会一致で採択しました。
3月9日に核密約に関する有識者委員会の報告が出され、安保改定時の核持ち込みは「広義の密約」とし、日米政府間の「明確な合意」ではなかったと結論づけました。これは歴史の事実を歪曲し、日米軍事同盟に傷がつかないようにするものといえます。
鳩山政権発足後、岡田外務大臣が密約の調査命令を出しまたが、すぐさまキャンベル国務次官補が記者会見で、(核密約の)「米側文書は歴史的事実」と認め、その一方で「過去の話であり、この問題が日米関係を損なわないやり方での決着」を求めました。まさにその方向にそった報告書といえます。
しかし佐世保は原潜の初寄港、原子力空母の初寄港、核トマホーク積載可能艦の初寄港など、国民への「核慣らし」と核軍事同盟の新たな段階へ踏み込むきっかけを押し付けられてきたのです。外務省の説明は市民の納得を得られるものではとうていありませんでした。
質問項目は、佐世保港や佐世保基地への核兵器持ち込みはあったのか▽事前協議に関する日米の解釈の違いを一致させる考えはあるのか ▽今後の米艦船寄港時に核兵器搭載の有無をどのような手法で確認するのか▽佐世保基地に関連して公表されていない取り決めはあるのか▽核兵器の脅威に対しては米国の核抑止力に依存する考え方に変わりはないのか--など、非常に重要な内容です。外務省が幕引きを図らずに「誠意ある回答」を寄せるかどうか注目されます。
(2010年3月26日)
いわゆる「密約」調査報告書を踏まえた今後の対応に関する意見書
去る3月9日、いわゆる「密約」に関する調査結果の報告がありました。
外務省の報告書によると、密約という文書の形では存在せず、安保条約改定当時、事前協議の必要はないという米側の考えに対し、日本側としては、事前協議の対象となるという点において、「日米間で認識の不一致があった」とされております。
また、有識者委員会の報告書では、「広義において密約が存在した」と結論付けており、政府とされても、同委員会報告を追認されております。
今般の調査に関し、外務大臣は、「国民に理解され信頼される外交を進めるため」と調査の意義を説明されており、その主旨は理解するところであります。
調査結果発表の際、外務大臣は、「今後も非核三絃原則を遵守する。また、現在、我が国に寄港・領海通過する米艦船には核兵器の搭載はない。」と明言されました。
しかしながら、本市に対する外務省の説明では、有事の場合に関する考え方など、なお課題を残すものがあり、市民の納得を得られる状況には至っておりません。
よって政府におかれましては、米海軍佐世保基地が所在することにより、日常的に米軍基地と接する市民の不安を払拭し、安全と安心をゆるぎないものにするためにも、別紙のとおり添付いたしております議会の問い合わせについて、誠意をもって回答し、説明責任を果たすよう要請いたします。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成22年3月25日
佐世保市議会議長
浦 日出男
質問事項