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護衛艦くらま、三菱長崎造船所で修理へ


佐世保立神岸壁に接岸中の護衛艦くらま(中央:先端に緑のシートが)

 今年10月27日に関門海峡で、韓国籍コンテナ船と衝突事故を起こした「護衛艦くらま」の修理は三菱重工長崎造船所で行われることになりました。同造船所が12月25日に公表したもの。

 くらまは艦首部分が原形をとどめないほど損傷し炎上。現地での海上保安庁による乗員らの聞き取り調査の後、佐世保基地の支援艦とタグボート2隻を伴って低速で自力航海し、11月9日に佐世保に帰港していました。

 今回の修理は防衛省が、入札の行われない随意契約で発注しました。海自佐世保地方総監部は随意契約の理由について「沖縄から山口までの総監部警備区内に、くらまを修理できる業者が造船所がほかにない」からとしています。

 修理費は総額9億4千万円で、来年1月末か2月初旬ごろから修理を開始し、6月中には完了する予定です。

 一方、第7管区海上保安本部(北九州市)は年明けにも、両船の操船をしていたコンテナ船の韓国人船長と「くらま」副長の2等海佐を業務上過失往来危険の疑いで書類送検する方針を固めたことが報道されています。

 衝突事故の直接の原因は、コンテナ船が前方の貨物船を左側から追い抜こうとした際に目測を誤り、貨物船に急接近。追突を避けるため左に急旋回したことにあります。その結果、船体がほぼ横向きになり、逆向きに航行していた「くらま」と衝突しました。しかし「くらま」は、コンテナ船がかじを切るのを衝突の約2分前に確認できる状況だったにもかかわらず、速度を落とさず航路の最も狭い部分に進入し、回避行動が遅れたという点で過失があるとみられています。

 また衝突は関門海峡海上交通センターの管制官がコンテナ船に左からの追い越しを「指示」したことが引き金となっています。しかし管制官の伝達には法的強制力がないこと、両船が適切な操船をしていれば衝突は避けられたことから、管制官の立件は見送られるといいます。ただし、来年7月の改正港則法などの施行で、管制官の伝達を一定の強制力をもつ「勧告」に格上げすることになっています。

(2009年12月25日)