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佐世保市議会が海自強化要請決議

港の有効利用の構想は語らず

 7月1日、佐世保市議会で、米海軍のLCAC駐機場移転後の崎辺跡地を海上自衛隊に提供することを国に求める決議が可決されました。現在、策定中の「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」に盛り込むことを狙ったものです。

 すでに昨年12月には佐世保商工会議所が経済効果の観点から、崎辺返還跡地に海自基地を集約する要望書を佐世保市・議会に提出していました。また今年2月、朝長則男・佐世保市長は、LCAC移転後の跡地は「海上自衛隊の施設として活用を図る」と述べました。これらを受けて、市議会基地対策特別委員会が決議案を提出したものです。

 もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、返還されたものです。現在の崎辺海軍補助施設は米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に一部再提供となりましたが、それが再返還となれば、民間・公共施設として活用が図られるべき性格のものです。すでに崎辺地区西側ではSSKが塗装工場を稼働させています。

 決議は跡地に「海上自衛隊として係留の施設整備等を推進」することだけを要望しています。「佐世保港の有効活用を図る」ことが目的なのに、その計画・展望等は一切ふれていません。これでは米軍と海自の機能強化を図る「軍・軍すみ分け」にほかなりません。

 議会では山下千秋議員(日本共産党)だけが反対。社民党も決議案の共同提案者に加わりました。山下議員は「今、意見書を提出する理由は何か。これまでの経緯からして崎辺は民間・公共用地として活用するのが筋ではないか。米軍・自衛隊は軍事強化になるが市民にとってのメリットは何か」と追求し、当局は事実上答弁不能という状況でした。

(2009年7月2日)


崎辺地区の利活用に関する決議

 佐世保市議会は、本市に所在する米軍提供施設・区域の返還及び制限緩和を図り、返還後は、本市の公共的利用又は産業の振興に活用するために、昭和47年に「返還6項目」を決議した。

 その後、平成10年に、米軍提供施設・区域の移転・返還・集約をさらに促進するため、「新返還6項目」を決議し、これまで、議会と行政が一体となり、国に対し粘り強く要望活動を実施してきたところ、今日、要望項目のそれぞれで、具体的な進展がみられている。

 このような中、米軍は、崎辺東側地区を「エアクッション型揚陸艇(LCAC)」の駐機場として使用しているが、防衛省は、西海市米軍横瀬貯油所においてLCAC施設の整備事業を実施しており、平成23年度までには施設整備が完了し、加えて、我が国防衛の基本政策である「防衛計画の大綱(いわゆる防衛大綱)」の見直し及び大綱に基づき平成22年度から5年間の「中期防衛力整備計画」の改訂も本年度末に予定されている。

 また、海上自衛隊とされては、平成元年、崎辺東側地区に、係留施設総延長950mの大型桟橋の建設を計画され、本市としても港湾計画に位置づけているが、20年を経過する今日においても、手つかずの状況になる。
 防衛施設を擁する本市議会としては、佐世保港の有効活用を図る上で、崎辺地区の利活用は「新返還6項目」と並ぶ基地政策の重要課題であると強く認識している。

 よって、本市議会としては、本市と海上自衛隊との間で長年に亘り培ってきた歴史・経済・文化・雇用の面での深い関わり及び既存の海上自衛隊施設の整備状況等を勘案し、崎辺東側地区について、海上自衛隊として係留の施設整備等を推進されるよう要望するものである。

 以上、決議する。

平成21年7月1日

佐世保市議会