ホームニュース一覧2009

「軍艦の長崎港入港は歓迎しない」

核密約での申し入れで市が表明

 6月12日、マスコミで報じられた「日米核密約」問題について、原水爆禁止長崎協議会、ながさき平和委員会、新日本婦人の会長崎支部、長崎市役所従業員組合の4団体は、長崎市へ要請書を提出しました。

 市側は、金谷原爆被爆対策部長、多以良原爆資料館館長、中村平和推進室長が応対しました。4団体からは、今回の報道により「密約はあった」ことは事実としか考えられない。その上で (1)真相究明を政府に求めること (2)非核三原則を法制化するよう政府に求めること (3)長崎県にたいして「非核長崎港宣言」を行い、入港艦船については、核の有無について証明書の提示を求めること、の3点を要請しました。

 長崎市からは、(1)(2)については市長に伝える。特に、非核三原則の法制化については、平和宣言にも盛り込んでおりその実現をめざしている。(3)については、長崎市としては、核兵器搭載の有無に関わらず全ての軍艦の入港を歓迎しない、というスタンスである。との回答がありました。市側は、「どこの国であれ、被爆地への軍艦入港はふさわしくない。非核証明があれば軍艦を入港させていいのか」と市のスタンスを表明しました。

 これに対し、要請団は、市や私たちの抗議にも関わらず、毎年、米艦船などが入港している。これらの入港を止めるための方策の一つとして提案しているものである、と述べると同時に、全ての艦船の入港に反対するという長崎市の対応を理解しつつ、実効性のある対策をさらに検討することを求めました。

(2009年6月13日)


2009年6月12日

長崎市長 田上富久 様

原水爆禁止長崎協議会   理事長 田中弘法
ながさき平和委員会    会 長 前田保子
新日本婦人の会長崎支部  支部長 山中久美
長崎市役所従業員組合 執行委員長 里 正善

日米核密約問題に関する要望書

 被爆地の市長として、核兵器廃絶を求める運動の先頭に立って奮闘されておられることに心より敬意を表します。

 去る6月1日、共同通信は「核兵器を搭載した米艦船や航空機の立ち寄りを黙認することを合意した密約の存在を4人の次官経験者が認めた」旨の報道を行いました。しかも「核密約」は外務省の中枢官僚が組織的に管理し、一部の首相や外相にだけ伝えてきたという、驚くべき事実も明るみに出ました。

 このところ長崎港には4年連続で核トマホーク搭載可能な米イージス艦が寄港しています。政府は「核兵器持込は事前協議の対象であり、米国から事前協議を提起していない以上、積んでいるとの疑いは持っていないし、問い合わせるつもりもない」としています

 しかしこの「核密約」の内容は、既に米国で公開された公文書でも確認されているもので、今回、当事者である事務次官経験者がその事実を証言したことは、「核密約はない」としてきた政府答弁が虚偽のものだったことになります。

 いま、オバマ大統領の「核兵器のない世界」をめざすプラハ演説をうけ、国際的にも核兵器廃絶へのうねりが起きているもと、日本政府は唯一の被爆国として核兵器廃絶のために全力を尽くすべきです。そのためにも、「核密約」について国民に真相を明らかにする必要があります。

 私たちは、被爆地の市民としてこの問題をけっして見過ごすことはできません。

 つきましては、次の事項について要望いたします。

  1. 政府に対し、「核密約」の真相を明らかにするよう申し入れてください。
  2. 政府に対し、「非核三原則」の法制化を行うよう申し入れてください。
  3. 長崎県に対し、「非核長崎港宣言」を行い、核保有国艦船には核兵器を搭載していないことの証明を求めるよう、要請してください。

以上