崎辺海軍施設のLCAC。この右にSSKの塗装工場がある(クレーンはSSKのもの)。
建設工事が本格化しているLCAC新駐機場
現在、西海市の米海軍横瀬貯油所の区域内にLCACの新駐機場の建設が本格化しています。山の斜面側の造成工事も始まりました。3年後の12年3月までに完成する予定とされています。その一方で、現在、駐機場のおかれている崎辺海軍補助施設(約12万9千m2)の返還については何も決まっていません。
2月26日、佐世保市議会で朝長則男市長は、LCAC移転後の跡地利用について「海上自衛隊の施設として活用を図る」と述べました。これは米軍と海自の機能強化を図る「軍・軍すみ分け」にほかなりません。
崎辺地区については、すでに05年6月に光武前市長が、海自施設を集約して跡地利用を図る考えを表明していました。当時、西日本新聞は、佐世保市の構想を次のように報道していました。
1については海自が1990年代から崎辺地区に長さ760m大型桟橋を作る計画があり、佐世保市港湾計画にも記載されています。08年4月、その計画が埋め立てを伴う巨大岸壁の建設であることが明らかとなりました。
2については立神桟橋が米軍基地から突き出た構造のため、隊員が基地内を通行せざるを得ないという制約がありました。
3については、SSKがようやく本来の姿にもどれるわけで実現を望みますが、米軍としては立神岸壁より使い勝手が良い立神桟橋が転がり込むわけで、願ったりかなったりです。
昨年12月2日、佐世保商工会議所は経済効果の観点から、崎辺返還跡地に海海自基地機能の充実・整備、海自艦艇が係留できる桟橋建設のほか、大規模災害に備えた物資保管、後方支援用の海自施設の新設などを求める要望書を佐世保市・議会に提出しました。
現在、中期防衛力整備計画の見直しが始まっていて、佐世保市は年内に策定される次期計画に崎辺地区への海自施設の集約関連事業を盛り込む意向です。朝長市長は、米海軍・自衛隊施設と民間施設のすみ分けをはかることで佐世保市の発展をめざそうとしていますが、結果的に米海軍・自衛隊の機能強化に手を貸し、逆に市の発展を阻害原因を固定化するものに他なりません。
もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、返還されたものです。現在の崎辺海軍補助施設は米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に一部再提供となりましたが、それが再返還となれば、民間・公共施設として活用が図られるべき性格のものです。すでに崎辺地区西側ではSSKが塗装工場を稼働させています。
(2009年2月28日)