ホームニュース一覧2009

原子力軍艦の存在こそが問題

佐世保で新春・平和学習会

 1月17日、「米原潜ヒューストン放射能漏れ事故を考える」学習会が佐世保市で開かれ、約70人が参加しました。マスコミの関心も高く、6社の取材を受けました。主催は日本平和大会長崎県実行委員会と佐世保市平和委員会。お話は放射能の専門家である野口邦和さん(日本大学)。

 野口さんは原子力空母は事故の危険があるから反対というだけでなく、その存在自体が危険という認識をもつことが運動の上でも必要と指摘しました。そして米原子力艦の安全性に関する「ファクトシート」は根拠のない無責任な「安全宣伝文書」でしかないことを、事実をもって明らかにしました。また原子力艦の事故の際に、はたして米軍が事故情報を迅速に日本に通報するかどうか多いに疑問であり、現在の日米安保体制に日本の安全保障を委ねるかどうかが問われていると述べました。(以下、要旨)

○原子力軍艦は事故を起こすから危険なのか
 安全性の議論だけだと地域限定の反対運動になりやすい。国民的な運動にするためにも本質を見すえることが大事。原子力空母は「動く原発」だから危険という意見があるが、「動く火発」である通常型空母ならいいのだろうか? 否、空母は米先制攻撃戦略・殴り込み戦略の拠点になるもので、それが原子力空母になればいっそうの機能強化になると考えるべきだ。原子炉事故はめったにおこらないが、艦載機の訓練に伴う事故・騒音、25%増の乗組員が引き起こす不祥事や犯罪、住宅建設に伴う環境破壊は必ず起こる。

○原子力軍艦の安全性に関するファクトシート
 わずか10頁のファクトシートには「安全」という言葉が25回も出てくる。しかし具体的なことは一切記載されず、根拠のない無責任な「安全宣伝文書」にすぎない。実際には沈没事故や異常放射能の検出などトラブルは多発している。データを出さずに「安全だ」といわれても信用できない。ファクトシートは科学的立場とは無縁の政治的な文書だ。

○重大事故が起こったら
 原子力軍艦の原子炉事故の被害は見積もることは不可能だ。そもそも軍事機密のもとで構造などが全く不明なのだから。ただ大量の放射性物質が原子炉内に溜まっていくことは明らかで、それが外部に漏れたら重大なことになるのは間違いない。一番の問題は、事故の際に米軍が事故情報を迅速に日本に通報するかどうかである。おそらく基本的には隠す。隠しきれなくなったら「公表」する。だから通報が遅れるといったことが多々あった。日本の原子力防災基本計画では、外務省が米国大使館から事故発生の連絡を受けることが前提となっている。

○原潜ヒューストンの放射能漏れ事故
 ヒューストン事故の問題点は、放射性物質を含んだ原子炉内の水が漏れたことだ。量の大小(それも問題だが)ではなく、漏れたこと自体が問題。しかもその事実が2年も判らなかったこと。米軍は検出された放射能の数値を全く出していない。通報も遅れた。米軍の一方的な報告を信用しろというものだ。それで寄港を認めるのは自治体として、市民に責任を持つものとは言えないだろう。結局のところ、日本の安全保障を現在の日米安保体制に委ねていくのかが問われている。

(2009年1月18日)