米軍ヘリ 招待者送迎で石垣空港使用
「地域指導者」のエセックス艦内ツアーで


エセックス艦内の医療施設で説明を受ける八重山防衛協会の人たち(米軍HP)

 「日米地位協定を自分勝手に解釈し、思うままに恣意的に空港を使おうとしている」(大浜長照石垣市長)ーー日本の主権を無視する米軍の横暴が繰り返されています。米海軍と在沖米国総領事館が企画した強襲揚陸艦エセックス艦内ツアーの招待者を送迎するために石垣空港の使用を強行したのです。沖縄県の記録によると、97年以降、石垣空港には米軍機9機が飛来しているが、交流支援を目的とした使用は初めてといいます。

 11月28日午前9時45分、エセックス艦載の2機のMH60ヘリが石垣空港に着陸しました。空港のフェンスの側では八重山地区労働組合協議会や高教組八重山支部などの団体が抗議の声を上げました。八重山防衛協会の会員ら13人と在沖米国総領事館のケビン・メア総領事が乗り込み、同10時20分、石垣島沖合に停泊しているエセックスに向けて離陸しました。

 招待者はエセックス遠征打撃群がどのように構成され、艦隊と海兵遠征部隊がどのような能力があるのか、簡単なプレゼンテーションを受けた後、エセックスの医療施設やウェルデッキなどを見学しました。艦内には約2時間半滞在し、艦長との面談や昼食も用意されていました。

 2機のヘリは招待者を乗せて午後2時39分ごろに石垣空港に着陸し、3時過ぎに離陸しました。八重山防衛協会の一行は空港エプロンで植物検疫などを受け、バスで空港を後にしました。

 米海軍ホームページでは 「Ishigaki Community Leaders」(石垣市の地域社会の指導者)を招待したと述べています。
 防衛協会は「国民の防衛意識の高揚、 自衛隊に対する支援・協力」を目的として活動している団体です。自治会長ならまだしも八重山防衛協会の会員がはたして「地域社会の指導者」といえるのか。米軍は自分たちの「理解者」との交流を図っただけです。そのためだけに民間空港を、石垣市や沖縄県の反対を押し切って利用したのです。

 米海軍は11月25日、石垣空港の使用を沖縄県空港課に届けました。大浜長照石垣市長はこれに抗議、使用中止を求め、28日の当日も米軍ヘリコプター着陸・離陸を視察し、「このような強行な態度は許されない。親善友好にもならない。こんな形で軍事利用されるのには非常に不安を感じる」と批判しました。
 空港管理者の沖縄県も「民間航空機の円滑で安全な運航を確保する観点から、緊急ややむを得ない場合を除いて、米軍機の使用は自粛するべきだというのが県の一貫した考え」として、使用自粛を求めていました。

(2008年12月5日)