幅広い人たちと運動の連携を
県九条の会 ☆池田香代子・土山秀夫 対話集会

 11月3日、県九条の会は「九条で世界に青空を広げよう」をテーマに池田香代子さんと土山秀夫さんの対話集会を開き、約300人が参加しました。両氏とも「世界平和アピール7人委員会」のメンバーで、土山さんは元長崎大学学長で、県九条の会の共同代表の一人。池田さんはベストセラー「世界がもし100人の村だったら」で知られるドイツ文学翻訳家。両氏が「押し付け憲法論」「北朝鮮脅威論」「集団的自衛権」「若い世代へどう伝えるか」「海外は九条をどうみているか」などのテーマで意見を交わし、参加者は改めて憲法の意義を深めていきました。(以下、論点の要旨)

憲法制定の経過
 ポツダム宣言に則った憲法草案を日本政府はつくることができなかった。それを省みずに「押し付け憲法」というのはおかしい。政府案は大日本帝国憲法の文言の修正に過ぎなかったため、GHQは植木枝盛ら自由民権の考え方などを盛り込んだ鈴木安蔵らの憲法研究会の案を評価し、たたき台とした。さらに幣原喜重郎の軍備全廃という提案を取り入れた。いわば日米合作で、かつ“歴史の本流”を受け継いだ憲法だ。

九条変えろの声はいつもアメリカから
 戦後まもなくしてアメリカから改憲の声が出た。日本兵を米軍の一部として利用する魂胆だった。最近はアーミテージ報告で「9条がなくなれば日米関係はもっとよくなる」「宇宙開発の軍事化」などを要求している。あからさまな内政干渉であり、それらの一部は着実に実現されている、これで日本は主権国家といえるだろうか。そのアメリカは戦後20回もの軍事介入を起こしている戦争好きな国だ。憲法を変え、そのアメリカのために集団的自衛権を行使することは相当な覚悟が必要となる。そのことを警告しなければいけない。

北朝鮮・中国脅威論
 軍事評論家の小川和久さんは「北朝鮮脅威を煽る人は結局、北朝鮮に対する不安を増大させる役割を担う北朝鮮の手先に等しい」と述べている。ノドンミサイルが200発あるというが、在日米軍のトマホークは600発、グアムには核搭載機が配備されている。北朝鮮という国家を壊滅させるだけの威力を持っている。中国脅威論の発信地は台湾。確かに中国は近代化を進めているがとても米国の脅威にはならない。

若者へのはたらきかけ
 いま若者の閉塞感につけ込んで狭いナショナリズムが煽られている。若者の声をしっかりと受け止めていくことが必要。抽象的な平和教育ではなく、情勢を直視し、多数の選択肢を示しながら事実をストレートに伝えていくことが必要。

自民党支持者でも・・・
 選挙で自民党に投票する人は必ずしも改憲を望んでいるわけではなく、政策全般に賛成してきただけ。ところがいまの自民党議員の中には戦争体験者が激減し、また国会内でも護憲派が少数となってしまった。そんな中で安倍首相が誕生し改憲をぶち上げたため、それに危機感を持った自民党支持層の意思が読売新聞の世論調査に反映した。(憲法維持派が改憲派を上回る)
 自民党支持者の中にも9条は変えるべきでないという人たちが多い。自衛隊や安保条約に対する立場を超え、9条を守り広げるという一点で結集するという幅広さがこの運動には必要。

海外から見た9条
 アフリカや中南米の紛争地域では9条の実現を渇望している。少しずつではあるが9条の精神が世界に広がっている。しかし改憲派の首相が相次ぐ日本は大丈夫なのかという危惧の声が世界から聞こえる。名古屋高裁判決が空自の活動を9条1項違反としたことは、日本が戦争体制にあると認定したこと。改憲派が諦めるまで足元の運動を高めていこう。

(2008年11月04日)