安全性未確認の原子力艦は入港拒否
沖縄県議会が原潜事故で抗議決議

 9月17日、沖縄県議会は定例本会議で、米原潜ヒューストンの放射能漏れ事故に関する抗議決議と意見書を全会一致で採択しました。

 抗議決議・意見書は▼ホワイト・ビーチに寄港した全原潜の定期点検の時期、内容及び結果を明らかにすること、▼冷却水の放水を日本の領海では行わないこと、▼原潜の入出港通報の事前公表中止措置を解除、に加え、▼今後、原子力潜水艦は、安全が確認されない限り本県に寄港させないこと、を要求するなど、佐世保市や長崎県議会の意見書(そもそも米軍への抗議決議ではない!)より大きく踏み込んだ内容となっています。

(2008年9月18日)


米海軍原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故に関する抗議決議

 去る8月7日、外務省は、米海軍の原子力潜水艦「ヒューストン」から原子炉の冷却水が漏れていた時期が平成18年6月から平成20年7月までの約2年間にわたり、その間沖縄県うるま市のホワイト・ビーチに5回寄港していたことなどを公表した。

 外務省によると、米側は、この2年余りの間に国内の寄港地で漏れた量をすべて合わせても一般家庭用煙探知器に含まれる放射性物質の量よりも少なく、人体や環境への影響はないことを強調しているが、たとえ微量であっても放射能が漏れ続けたまま県内への寄港を繰り返したことは、県民に大きな不安を与えるものであり、看過することはできない。

 また、今回の原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故は、7月にハワイで点検した際に発覚したものだが、米海軍は外務省に8月1日に通報し、同省は県に翌日の8月2日に連絡するというありさまであり、危機管理への意識の薄さや県民への配慮が欠けていることが明らかとなったことに加え、冷却水漏れを2年余り見落としていた米軍の安全管理体制のあり方が問われることとなった。

 さらに、平成20年のホワイト・ビーチの原子力潜水艦の寄港は、現時点で既に昨年を上回る28回となっているが、地元住民を初め県民は、放射能汚染という目に見えない脅威にさらされる不安を持つとともに、原子力潜水艦の寄港地としての基地機能の強化と沖縄近海での米軍の活動に対して強い懸念を覚えている。

 本県議会としても、原子力艦船の安全性、監視体制、防災体制の確立がなされないままの原子力艦船の入港を安易に認めるものではない。

 よって、本県議会は、地域住民及び県民の生命・財産及び生活環境を確保する立場から、今回の米海軍原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故に関し厳重に抗議するとともに、下記の事項が速やかに実現されるよう強く要求する。

  1. これまでホワイト・ビーチに寄港したすべての原子力潜水艦に関して、定期点検の時期、内容及び結果を明らかにすること。
  2. 原子力潜水艦の安全確保に関する体制及び事故通報体制を徹底的に見直して、冷却水の放水を日本の領海では行わないこと。
  3. 原子力潜水艦の入出港通報の事前公表中止措置を解除すること。
  4. 今後、原子力潜水艦は、安全が確認されない限り本県に寄港させないこと。
  5. 現在停止しているモニタリングポスト海軍桟橋局No.2海水計を早急に再開するとともに、県内でのモニタリング体制の充実を図ること。
  6. 原子力潜水艦の寄港増加の理由を明らかにすること。

上記のとおり決議する。

平成20年9月17日
沖 縄 県 議 会

 駐日米国大使
 在日米軍司令官
 在日米軍沖縄地域調整官
 在沖米国総領事 あて