防災訓練にエセックスが投入される

 「防災の日」を前後して行われた八都県市防災訓練に、米海軍佐世保基地の強襲揚陸艦エセックスが投入されました。防災訓練に在日米軍の実動部隊が参加するのは3年連続となります。

 8月31日に行われた東京都と中央・江東両区との合同の総合防災訓練は東京湾北部を震源とする震度6強の首都直下型地震を想定したものでした。江戸川区の葛西臨海公園に集合した都職員らが扮した「帰宅困難者」97人をLCACと米軍のヘリコプターに乗せ、4・5キロ沖に停泊中のエセックスとの間を往復しました。

 9月1日には神奈川県の防災訓練が横須賀新港埠頭を中心に行われました。これは三浦半島断層群を震源とするマグニチュード7・2の地震発生を想定したもので、神奈川県と在日米陸海軍が、大規模災害時に相互支援するとした今年2月の覚書調印後初めての訓練となりました。
 エセックスは横須賀新港埠頭の沖合約3キロに停泊し、埠頭で担架に乗せられた負傷者をLCACによってエセックス内に運び込みました。重傷者18人を艦船内で治療する想定で、米軍の担当者が救命、治療の優先順位を判定し、緊急処置室や集中治療室などに振り分けたといいます。

 防災訓練に参加したLCACが輸送したのはごくわずかな人員です。別に母艦がエセックスである必要性はありません。大量のエネルギーを必要とするLCACよりは漁船や客船などの方が実用的で効果的です。米軍は「役に立つ」ことを、とくに原子力空母が配備されようとしている横須賀でアピールしたかったのでしょうか。
 8月末に東京港木材埠頭にエセックスが接岸している間、周辺海域での浚渫作業は中止されたこと、エセックスの入出港時の東京東航路の航行禁止の措置がとられたことは、実際の災害時に米軍が救助に向かうのかどうかを示唆しているのではないでしょうか。

 昨年の東京都の防災訓練にも佐世保基地の揚陸艦トーテュガが投入されました。今回と同様、葛西臨海公園からLCACが「帰宅困難者」66人をトーテュガに収容、神奈川・横須賀港まで輸送しました。

 06年は横須賀基地のミサイル・フリゲート艦ゲアリーを投入、「帰宅困難者」30人を東京・晴海埠頭に接岸した海自護衛艦「はたかぜ」から横須賀基地まで輸送しました。

(2008年9月3日)