うるま市議会が米原子力艦船の寄港を拒否
原潜放射能漏れ事故で全会一致の抗議決議
佐世保市議会も意見書採択へ

 米軍ホワイトビーチをかかえる沖縄県うるま市は8月11日、原潜ヒューストンの放射能漏れ事故に対して米軍への抗議決議と日本の関係機関への意見書を全会一致で可決しました。この中で、うるま市は「今回の事故についての説明責任」「情報は迅速にすべて公表」「ホワイトビーチへ米国原子力軍艦を寄港させないこと」と強く求めています。

 一方、佐世保市も8月21日に臨時市議会を開催して意見書を採択する予定です。佐世保市長は、ヒューストンの入港は拒否するものの、他の米原子力艦船の入港は容認するという姿勢を取っています。原子力防災訓練への米軍不参加、原子力空母の準母港化が進められる中で、市議会の対応が注目されています。

(2008年8月12日)


米国原子力潜水艦の冷却水漏れ事故に対する抗議決議

 8月2日、外務省は米国原子力潜水艦「ヒューストン」に冷却水漏れが確認されたとの米政府から連絡があったことを公表した。公表では、原子力潜水艦「ヒューストン」が今回の全航海中に漏洩した放射能の量はわずかであり、人体や環境に影響を与えるものではないとしている。米国原子力潜水艦が寄港する際は、文部科学省において放射能調査を24時間態勢で行なっており、原子力潜水艦「ヒューストン」が3月及び4月に日本に寄港した際の放射能調査では異常な数値は検出されていないとしている。さらに、米側は8月7日になって、当該原潜において微量の冷却水漏れの可能性は平成18年6月からあったことを明らかにした。

 原子力潜水艦「ヒューストン」は、当該期間中これまで5回本市のホワイトビーチに寄港しているが、冷却水が漏れたこと自体が絶対あってはならないことであって、人体に影響がないからとの理由で公表しなかったことは到底許されるものではない。しかも、今回の事故を米海軍が把握したのが7月24日となっているが、日本政府に通報したのは1週間も遅れた8月1日である。そのことを外務省が公表したのが翌日の8月2日となっており、極めて重大な情報を速やかに通報・公表しなかったことは日米両国政府の住民軽視であると言わざるを得ない。

 本市議会は7月30日に、ホワイトビーチへの原潜の寄港が年間最多となったことにより危険度も増すとして、原潜寄港に反対する意見書の提出と抗議決議を行なったところであるが、今回の事故発生と情報開示の遅れは、市民の不安が現実となったことを意味している。

 よって、うるま市議会は、市民の生命・財産と生活環境を守る立場から米国原子力潜水艦「ヒューストン」の冷却水漏れ事故に対して厳重に抗議するとともに下記事項について強く要求する。

  1. 今回の米国原子力潜水艦の冷却水漏れ事故についての原因究明と詳細について、説明責任を果たすこと。
  2. 米国原子力軍艦の安全性についての情報は、軽重に拘わらず迅速に全てを公表すること。
  3. ホワイトビーチへ米国原子力軍艦を寄港させないこと。

   以上、決議する。

 平成20年8月11日

沖縄県うるま市議会

 あて先
  米国国防長官 駐日米国大使 在日米軍司令官
  在日米軍沖縄地域調整官 在沖米海軍艦隊活動司令官 在沖米国総領事