自衛隊違憲判決を力に運動の前進を

ながさき平和委員会総会/記念講演会開かれる


▲記念講演で熱く語りかける板井俊介弁護士

 6月18日、ながさき平和委員会の定期総会が開かれました。

 07年度の情勢の特徴として、米イージス艦の長崎寄港が3年連続となったことがあげられました。休養ではなく、寄港そのものが目的だったこと、艦長が、地域と結びついて「寄港反対運動を押さえ込む」と発言したことなどが紹介されました。
 主な活動としては7回の例会の開催(うち2回は佐世保基地調査)、『07年版長崎県の軍事基地』の発行、戦争・被爆体験のお話のライブラリー化、大型写真パネルの作成などがあげられます。

 08年度は長崎県平和大会開催の検討や長崎港の非核化に向けた運動を中心とする方針が提起されました。参加者からは「憲法をまもる運動などで、具体的な行動提起が欲しい」「会員が活動している様子を、ながさき版で取り上げて欲しい」など、要望や意見が出されました。

 続いてイラク派兵差止め熊本訴訟弁護団の板井俊介弁護士が「イラク派兵と憲法9条〜名古屋違憲判決を広げる活動を〜」と題して記念講演を行いました。

【講演の概要】
 日本の裁判では、イラク派兵によって何権が侵害されたのかを明確にする必要がある。持ち出してきたのが「平和的生存権」だ。平和の問題では勝つことが難しいため、多くの弁護士は関わりたがらない。敗訴判決が出ると、国にお墨付きを与え、利用される可能性もある。しかし社会的には意味のある事件であり、弁護士冥利につきる事件だ。
 これまで一連のイラク訴訟判決は「紋切り型」で切り捨てる形態が多かった。しかし少しずつ中身が変わり、一歩ずつ進んで、その集大成が名古屋高裁判決だといえる。

☆名古屋高裁判決の特色と意義

  1. イラクの自衛隊は9条1項の「武力行使」=戦争に加担しているという認定。
  2. イラク特措法や国の主張に則った論理で、現実との矛盾を指摘。ここに裁判官の怒りを読み取ることができる。
  3. 原告側敗訴にして国に上告をさせず、高裁で片をつけた。

 分かりやすいのは1.で、これを広げていくことが憲法「改正」の国民投票で反対多数を結集することにつながる。自衛隊=9条2項違反(戦力)という人。そうは思わないが海外派兵はダメだという人。海外派兵はいいとしても今のイラクへの派兵はダメだという人。今回の判決は、原告らがそうであるように、ここまでの人たちを巻き込める。

☆自民党の改憲策動を打ち破る武器として
 自民党の改憲論は9条2項を削除して自衛軍をつくるというもの。しかし1項は変えられない。それは国際法上の一般的なルールになっているからだ。だから法律で変えようとしている。それが「恒久派兵法」だ。海外に出ていき、どこかの軍隊と一緒になって戦争をすることを可能にする。それができなければ解釈で変える。すなわち集団的自衛権の行使。これらは1項を変えられないもとでの議論になっていると位置づけるべきだ。

 政府は海外派兵で、海外から評価されたという実績をつくりたがっている。アフガン、イラクへの派兵がそうだし、四川大地震での自衛隊機派遣(中止となったが)もその一環と見るべきだ。しかしイラク派兵を続けるに必要な特措法は来年7月に期限が切れ、イラクでの多国籍軍の免責特権も今年12月に切れ、その後の見通しは暗い。その意味で違憲判決は大きな武器となり、撤退にリンクしてくる。

 この裁判が終わっても改憲の国民投票の日まで頑張りつづける必要がある。長崎の皆さんにお会いしたことを熊本に持ち帰って伝えて励ましあいたいと思っている。横のつながりを持って頑張っていこう。

(2008年6月19日)