崎辺に海自の巨大岸壁計画

 現在、佐世保の崎辺東側地区は米軍基地で、その突端はLCAC駐機場となっています。ここには予てから海上自衛隊の大型桟橋計画がありました。
 4月10日、佐世保市議会の都市整備委員会が開かれ、その計画が単なる桟橋ではなく埋め立てを伴う巨大岸壁の建設であることが明らかとなりました。港湾審議会の佐世保港湾計画変更報告書によると、埋め立て部分は2ha、岸壁の総延長は1,040m,しかも浚渫を行なって水深11mという巨大なものです。ただし90mの部分だけは水深5mのままなので実質的な“桟橋”としての長さは760mで、90年当時に「760m桟橋」として計画されていたものが具体化したものといえます。

 いま西海市の米海軍横瀬貯油所の海域で建設が始まっているLCACの新駐機場が完成後には崎辺のLCACが移転することになります。佐世保市はその跡地に海自施設を集約する構想を持っています。これは立神桟橋に係留する大型艦船を集約するもので、その結果、立神桟橋は米軍に提供するというものです。

 現在、インド洋海外派兵の拠点となっている2本の立神桟橋は米軍基地内にあるため、崎辺への集約による運用上のメリットは海自にとってひじょうに大きなものがあります。さらに崎辺にはイージス艦のミサイルの性能維持等のための佐世保弾薬整備補給所があり、イージス艦3隻を機能的に運用できることになります。まさに日米共同作戦基地としての機能強化です。

 しかしそれ以上に米軍は濡れ手に泡といった状況です。高機能のLCAC駐機場を無償で手に入れるだけでなく、さらに使い勝手のよい桟橋まで転がり込むのですから。

 もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、返還されたものであり、米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に東側を再提供していたものです。それが再返還されることになるのなら、民間・公共施設として活用が図られるべきものでしょう。

(2008年4月11日)