最新鋭掃海艇「ひらしま」佐世保配備

 3月19日、新たに佐世保基地に配備となった海自の最新鋭掃海艇「ひらしま」が倉島岸壁に接岸しました。配属は掃海隊群/第2掃海隊で、替わりに「なおしま」が下関基地に配置替えとなったため、佐世保の掃海艇は3隻体制のままです。

 「ひらしま」は04年度に計画された基準排水量570トン型掃海艇の1番艇。ユニバーサル造船京浜事業所で建造され、3月11日に海自に引き渡されていました。建造予算は175億円。防衛省は新型掃海艇の導入を「周辺海域の防衛能力及び海上交通の安全確保能力の維持向上に資するもの」としています。

 「ひらしま」型は、従来の「すがしま」型の性能向上型で、基準排水量が60トン増え、サイズも一回り大きくなっています。▽速力14ノット(時速26キロ)▽20ミリ機関砲を搭載▽乗員48人。
 また機雷処分具も「近年の危害範囲の拡大した機雷に対処するため」に従来の「遠隔制御式機雷処分具PAP-104Mk5」(三菱重工長崎造船所製;フランスからのライセンス生産)から、国産新型の水中航走式機雷処分具Sー10(三菱重工長崎造船所製)に変更。要員を危険にさらすことなくホーミング機雷(目標を探知すると自動追尾する機雷)など高性能機雷の捜索、処分ができるといいます。

 掃海艇はそもそも機雷の敷設がされているところに派遣されることが前提であり、いわば紛争を想定したものです。
 日本の自衛隊が初めて海外派遣されたのはこの掃海艇部隊で、湾岸戦争停戦後の1991年のことでした。しかもそのときの機雷処分装備が他国に比べて大幅に劣っていたため、新たに設計・建造されたのが現在の主軸である「すがしま」型でした。機雷探知器や処分装備も国産式からNATO諸国での装備を導入するという変更を行っています。
 なお、自衛隊ペルシャ湾派遣部隊として佐世保からは「ひこしま」が出航しましたが、その「ひこしま」も08年3月11日付けで除籍となり、その代替として建造されていたのが今回の「ひらしま」でした。

 一方、米海軍佐世保基地に配備されている米掃海艦は、強襲揚陸部隊が安全に揚陸できるようにするための機雷掃海部隊です。その米掃海艦と海自掃海艇部隊は毎年、日米合同の掃海演習を行い、乗組員は米軍からノウハウを学び取って、将来の「共同対処」に備えています。

 いま福田内閣は政府の判断でいつでも、どこにでも自衛隊を海外派兵できる「恒久法」の策定を狙っています。「恒久法」にもとづく海外派兵が現実のものとなった場合、海自から真っ先に派兵されるのはおそらく掃海艇部隊でしょう。

(2008年3月23日)