イラク侵略戦争の実相を運動の土台に
憲法改悪阻止県共同センター総会開かれる

 米のイラク侵略戦争開始から5年目となった3月21日、憲法改悪阻止長崎県共同センターは総会を兼ねた学習会を開きました。総会では、冨塚明さん(ながさき平和委員会事務局長)がイラク戦争の被害の実相を扱ったDVDをまじえて「海外派兵恒久法」の危険な狙いについて解説をしました。

 DVD『イラク−戦場からの告発』(イラクの子どもたちを救う会)では罪もなく殺され、傷つけられたイラクの子どもたちの痛々しい姿から伝わってくる「戦争止めて!」の叫び声に、参加者は言葉を失いました。

 冨塚さんは「イラク市民の死者数の推定が1桁も違うのは異常な事態。日本に当てはめてみると、最低でも長崎市民の数に相当する人々が殺され、九州・四国の人々が国内外に難民となっていることに相当する」と、その被害の規模を指摘しました。そして「いまもイラク侵略戦争は続いており、自衛隊も加担を続けている。しかし運動をする人たちの間でさえ、そのことがあまり意識されなくなっている。いまこそイラク戦争の実相を平和運動の土台にしていこう」と訴えました。

 自民党が検討を開始した「恒久法」は、

  1. 国連や紛争国などからの要請がなくても政府の判断でどこにも自衛隊を派兵できる
  2. 米軍の支援ではなく、米軍と同じような軍事行動を行える
  3. その自衛隊員の身を守るために武器使用条件を大幅に緩和する

という、憲法9条を骨抜きにする内容です。

 冨塚さんは特に3.について、「本来、人間は人を殺すのに相当な抵抗がある。軍隊はそれを巧妙な訓練で、殺人を意識させないようにしてきた。自衛隊もいま米軍と一体化して、その道を歩まされようとしている。自衛隊が『殺人をためらわない部隊=真の軍隊』に変貌することだ」と強調しました。

 参加者からは、「イラクの被害を念頭に、意識を持って宣伝行動に参加していかなければと反省している」(新婦人)、「一人10筆運動や5月の自治体キャラバンの中でも憲法問題を訴えていきたい」(自治労連)、「『教育関係者9条の会』を立ち上げた。メンバーが組合分会の中で訴え、職場9条の会の準備会ができたところがある」(高教組)、「共同センターの第一課題は情報発信で、ニュースを10号発行した。今後、Q&Aのコーナーなども検討したい。構成員に増す刷りなどして多くの人に広げると共に、情報を提供して欲しい」(事務局)、などの発言が相次ぎ、今後の運動を大きく発展させるための交流の機会となりました。

 また3月20日は、世界の人びとと連帯して全国各地でいっせいに集会、パレード、宣伝行動などが展開されました。
 長崎市では安保破棄県実行委員会・県平和委員会が宣伝行動を行いました。約30名が参加し、自衛隊のイラクからの撤退を求めるチラシ約1000枚を道行く市民に配布しました。また佐世保市でも平和委員会・原水協などが街頭宣伝、署名行動を行い、チラシ800枚を配布、海外派兵反対署名83筆が寄せられました。

(2008年3月21日)