核非搭載発言はリップサービスか
2月15日に長崎港への寄港を強行した米イージス・ミサイル駆逐艦ラッセンのアンソニー・シモンズ艦長が記者会見で「(ラッセンには)核兵器を搭載していない」という異例の発言をしたことが波紋を呼んでいます。始めて特定の艦船について核兵器搭載の有無に言及したからです。 米ソ冷戦構造の終結後、米国は平時における戦術核兵器の配備政策を変更しました。攻撃型原子力潜水艦には核兵器搭載能力を残すものの、空母を含む水上艦船のすべてからの核兵器とその搭載能力を外すというものです。その結果、従来の「核兵器搭載の有無については肯定も否定もしない」という公式見解は次のように変更されました。「水上艦船、海軍航空機、攻撃型潜水艦、あるいは誘導ミサイル潜水艦には、核兵器を配備しないのが一般的な米国の政策である。しかし、個々の艦船、潜水艦、あるいは航空機上に核兵器があるか否かについては話題にしない」 したがって過去に長崎に寄港した米艦船についても艦長はこれに則った発言をしています。
シモンズ艦長の発言は従来の米海軍の公式指示書と大きく食い違うため、新原昭治さん(国際問題研究者)がラッセンの広報担当将校あてに電子メールで、その整合性について問い合わせをしています。これに対してシモンズ艦長は、「核兵器の非存在に関しては、ラッセンも含め個々の艦船に核兵器を積んでいるかどうかは明らかにしない」とだけ回答を寄せました。 このためNBC長崎放送局はラッセンの広報官に対して、いったいどちらの発言が本当なのか質問をしています。 これらのやり取りを見るかぎり、米海軍には方針変更は一切なく、ラッセンのシモンズ艦長の「核兵器非積載」言明は、何らの保証もないものです。県知事・市長が事実上の拒否の態度を示す中での被爆地への3年連続強行寄港に対する市民の反発を和らげ、今後も寄港を続けるためのリップサービスに過ぎなかったようです。やはり公式な非核証明の提出の義務づけが求められています。 (2008年2月19日) |
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