「イージス艦こんごう」特別改造工事
年内にミサイル防衛対応型に

 三菱長崎造船所で「イージス艦こんごう」をミサイル防衛対応型にするための「特別改造工事」が進められています。

 イージス艦はもともと米空母をソ連の戦闘機等から守るためにアメリカが開発したもの。大気圏外を飛行する弾道ミサイルの探知・迎撃などは想定されていませんでした。米海軍は既存のイージス艦をミサイル防衛に対応させるために、弾道ミサイルの監視・追跡能力及び迎撃能力を付加する改造工事を進めています。ただし、スパイラル開発方式をとっており、下記表にあるように、現段階ではとても実用になるしろものではありません。

 海上自衛隊の保有する「こんごう」クラスのイージス艦は10年度までに弾道ミサイルを探知・追尾し、迎撃ミサイル(SM3)を発射できるようにイージスシステムとミサイル発射装置を改造することになっています。

艦名 建造所 配備先 改造終了
173 こんごう 三菱長崎 佐世保 07年末
174 きりしま 三菱長崎 横須賀 10年度
175 みょうこう 三菱長崎 舞鶴 09年度
176 ちょうかい 石川島播磨 佐世保 08年度

 改造工事ではイージスシステムをベースライン4(ちょうかいは5)からベースライン7(フェイズ1)に変更し、BMD3.6戦闘システムを搭載します。購入するSM3は各艦につき9発で、うち各1発は日米合同の発射テストに使われます。総費用は「こんごう」「ちょうかい」で各340億円、「みょうこう」「きりしま」で各247億円とみられています。

 現在、米海軍の迎撃能力艦は巡洋艦3隻、駆逐艦3隻のみ。保有するSM3はわずか14発しかありません。監視・追尾能力艦は10隻です。計画では07年末までに迎撃駆逐艦を7隻に、SM3は21発に、監視・追尾艦を7隻追加する予定となっています。

06年末での改造済み米イージス艦 ★は横須賀配備
SM-3搭載艦6隻 監視・追尾能力艦10隻
★シャイロー
 レイク・エリー
 ポートロイアル
★ステザム
 ディケーター
★カーティス・ウィルバー
★ジョン・S・マッケイン   ミリアス
★フィッツジェラルド     ベンフォールド
 ラッセル          ホッパー
 ジョン・ポール・ジョーンズ オケイン
 ポール・ハミルトン     ヒギンズ

SM-3の迎撃テスト結果

名称 日付 迎撃 メモ
FM-2 2002年01月25日 迎撃体の誘導・制御を制御して目標に接近させる目的
FM-3 2002年06月13日 迎撃体を標的に命中させることが目的
FM-4 2002年11月20日 上昇段階にあるテスト標的を初めて迎撃
FM-5 2003年06月18日 × 姿勢制御システムの不良
FM-6 2003年12月11日 迎撃は行われたが、姿勢制御システムは実戦とは異なる動作仕様
FM-7 2005年02月24日 標的は初めて「抜き打ち」で発射
FM-8 2005年11月17日 初めて分離された弾頭が使用され迎撃した
FM-10 2006年06月22日 シャイローから発射されたSM-3ブロック1Aが準中距離ミサイルから分離された弾頭を迎撃。日本のイージス艦「きりしま」が参加。
FM-11 2006年12月07日 × 射撃管制の設定ミスで迎撃ミサイルを発射できず