佐世保地方隊が「展示訓練」
統合運用で陸自・空自も参加


登舷礼を行なう10隻の艦艇

 8月5・6日、海自佐世保地方隊は黒島〜平戸島南方の海域で「展示訓練」を実施しました。招待や一般公募で選ばれた市民を載せた3隻の護衛艦を前にして10隻の艦艇と18機の航空機が「展示」を行ないました。今回は護衛艦「くらま」に佐世保地方総監が乗艦して、軍事教練の成果を「観閲」する形式をとりました。先導艦は「とね」、後続艦は「あさゆき」でした。

 「展示」を行なう艦艇は護衛艦「さわかぜ」「はるゆき」「いそゆき」「おおよど」、掃海艇「とよしま」「うくしま」、多用途支援艦「あまくさ」、高速ミサイル艇「しらたか」「くまたか」、潜水艦「はるしお」。海自航空機は哨戒ヘリSH−60J(大村航空隊;3機)、同(大村第22航空群:3機)、P−3C対潜哨戒機(鹿屋第1航空群;1機)、T−5練習機(小月教育航空群;3機)。また今年3月末から自衛隊の統合運用が始まり、今回初めて陸自ヘリのUHー60とCH−47が3機ずつ、空自のF−15J戦闘機(築城基地)2機が参加しました。

 初めに護衛艦、高速ミサイル艇や潜水艦など10隻が海軍礼式の1つである「登舷礼」を行い、乗員が甲板両舷に整列して「くらま」を中心とする3隻の観閲部隊に表敬をしました。続いて18機の航空機が展示飛行(順次ただ飛ぶだけ)を行いました。その後、観閲部隊と展示部隊はそれぞれ反転して再び合流。


「いそゆき」の周辺でホバリングする哨戒ヘリ

 護衛艦「さわかぜ」が5インチ砲の空砲を「発射」、轟音と白煙が上がりました。続いて航行する護衛艦「はるゆき」「いそゆき」の周辺で哨戒ヘリSH−60J2機がホバリング、風圧で海面に円形のくぼみができました。


甲板散水をおこなう「おおよど」

 護衛艦「おおよど」は甲板散水。事前の説明では生物化学兵器の被害を受けた際に、海水で船体を洗い流すと言っていましたが、甲板上では担当者が「放射能から守る」と説明していました。本気で核戦争を想定し、その被害から守れると思っているのでしょうか? 「国民保護」計画の荒唐無稽な核被害対策を思い出します。


「高速航行展示」を行なう「しらたか」

 その後は、2隻の高速ミサイル艇が高速航行展示を行ない、時速約80キロで水しぶきをあげながら航行しました。また哨戒ヘリが護衛艦の甲板と同じくらいの高さで低空飛行を何度も繰り返しました。


「あまくさ」と哨戒ヘリがローキャスティング実施

 最後は多用途支援艦「あまくさ」と哨戒ヘリを使ったローキャスティング。哨戒ヘリからダミーの人形を上げ降ろしして、ヘリへの人員の収容やけが人を運んだりする訓練を披露。


「展示訓練」を見学する参加者

 「展示」とは文字通り艦艇などを並べて多くの人々に見せるデモンストレーションにほかなりません。善しも悪しも国を守るという自衛隊の姿は見えてきません。同じ日、海自倉島岸壁では「ちびっこヤング大会」も行われ、自衛隊の「かっこよさ」だけを市民に焼き付ける場となりました。