崎辺地区に米軍訓練施設を
佐世保基地司令官が跡地私案

 5月13日付け長崎新聞は、米海軍佐世保基地のティルマン・ペイン司令官とのインタビュー記事を一面で紹介しています。その中でペイン司令官は崎辺のLCAC駐機場を、西海市の新駐機場完成後も射撃訓練施設として使用したいこと、日本政府からは崎辺の返還要求は出ていないと述べています。

 ペイン司令官は私案としながらも「射撃や消防などの訓練施設が必要。佐世保基地の中にはこうしたものを造る場所がない」「現時点では日本政府から崎辺の跡地返還の要望は出ていない。日本政府が跡地返還を要求するのなら2国間で協議が必要となる」と述べました。

 そもそも騒音のすさまじいLCACの運行は周辺住民からも佐世保市からも中止を求められてきたもの。米海軍はそれを逆手にとって西海町の横瀬貯油所海域を埋め立てて新駐機場を建設する計画を練り上げ、日本側予算で着工させました。新駐機場は12隻ものLCACを駐機させ、本格的なメンテナンスが可能な施設となります。

 もともと崎辺地区はSSK用地として市民をあげた運動の結果、返還されたものであり、米艦船の母港化にともなう住宅建設地の代替として米軍に一部再提供されていたものです。その「代替地」ができるのであれば崎辺地区は再返還されるべきで、しかもそれは民間・公共施設として活用が図られるべきものでしょう。すでに自衛隊施設を迂回してLCAC駐機場までいく「崎辺町線道路」が防衛施設庁の補助金によって建設されています。

 ところが佐世保市長は「佐世保港全体のすみ分け構想」として崎辺地区への海上自衛隊施設の移転集約を進めようとしています。こちらも「私案」の域を出ていないと市長は言っていますが、すでに海自佐世保総監部へ説明に行っています。

 そんな佐世保市長の思惑もを打ち砕こうというのが、今回のペイン司令官の「跡地私案」でした。「すみ分け」の実態は米軍の基地強化でしかないことを改めて感じた人は多いのではないでしょうか?

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