相次ぐ佐世保米兵の犯罪
裁判官が異例の苦言

 スーパーで万引きをしたとして窃盗罪で起訴された、米海軍佐世保基地勤務の米兵に対する初公判が4月6日、長崎地裁佐世保支部でありました。小松平内(へいない)裁判官は被告人質問で、審理中の事件と直接関係のない他の米兵事件にも言及し、相次ぐ米兵による犯罪に対して異例とも言える苦言を述べました。

 1月14日、基地内にある米海軍横須賀補給センター佐世保支所勤務の3曹、ナラン・バートレー被告は佐世保市大塔町の大型スーパーでアクセサリーが入った袋9個(2835円相当)を盗みました。

 小松裁判官は被告に「佐世保では軍人・軍属が何回も犯罪を起こし検挙されている。知らなかったのか」と質問。被告が「研修は日本文化など広範囲にわたった。街でトラブルを起こさないよう事件の前に(基地で)指導を受けていた。万引は悪いと理解している」と答えると、小松裁判官は「こんなに頻繁なのに(米海軍側は)措置を講じないのか。または、あなたたちが(措置に)従わないのか」と語気を強め、弁護人が「被告は反省している」と発言すると、「あなたの訴訟指揮は受けない」と述べる一幕もありました。そして「米海軍人は何回も何回も犯罪を起こしている。なぜ指導しても犯罪が起きるのか理解できない」と米軍の規律の乱れに異例の苦言を述べました。

 この日の公判で被告は起訴事実を認め、検察側は懲役10か月を求刑して結審。小松裁判官は懲役10か月、執行猶予3年を言い渡しました。

 佐世保市内では今年にはいって米兵によるひったくりやひき逃げなどの事件が相次ぎ、佐世保市は佐世保基地に文書で再発防止と綱紀粛正を要請する事態となっていました。
 しかし3月31日にも佐世保に入港したばかりのトーテュガ乗組員が松浦町で病院の自動ドアを素手で叩いて壊しました。こぶしをケガした米兵が基地内の病院で手当てを受けたことで事件が発覚しました。乗組員は艦内で上官とけんかをして酒を飲んでいたといいます。今年6件目の事件でした。