テロ対策で景観が台無しに
西九州自動車道に高さ7mの防護壁


ボールペンの示しているところが防護壁。その手前が総監部。向かい側も海自施設。

 佐世保市の海上自衛隊佐世保総監部横を通る西九州自動車道の高架橋部分に、高さ7メートルの防護壁が長さ200数十メートルにわたって設置される計画であることがわかりました。同総監部がテロ対策など保安上の理由で、事業主である国土交通省に要望しているものです。
 計画ではすぐ近くのインターチェンジに設置予定の遮音壁と同様の外装にして道路から総監部が見えないようにするといいます。

 佐世保市議会の西九州自動車道等建設促進特別委員会で議論となり、市側は「テロが起きると自衛隊だけでなく、住民にも影響が出る。景観に十分配慮したデザインになるよう国交省に要望したい」などと述べました。委員からは「現実的にテロが起こるか疑問」「クスノキ並木がある国際通りは最も佐世保らしい場所。防護壁は目障り」などの意見が出ました。

 そもそも市街地のど真ん中に高速道路が突っ込むという計画に、特にJR佐世保駅と海との間に道路が入り込むことによって、海の景観が損なわれる懸念がありました。そこで佐世保市は、都市デザイン研究会などの市民団体などで構成される「景観検討委員会」をつくって議論してきましたが、その検討委員会からも、「防護壁やめてください」という意見があがっていました。

 山下千秋市議は、「防護壁は異様な光景を作り出すだろう。戦前は駅裏から旧海軍施設に覆いが施され、今度もまたテロ対策として米軍や海自がシャットアウトされる。この道路は、米軍メーンゲート前にわざわざインターチェンジを設け、針尾米軍住宅と基地とを最短時間で移動できるようにしており、さらにテロ対策といって都市景観を台無しにするなど、徹頭徹尾、軍事優先道路になっている」ときびしく批判しました。その上で、佐世保市は即刻国に対し「防護壁設置計画」を白紙に戻すよう、強く申し入れるように発言しました。