「あさゆき」乗員から海自機密データ流出

 佐世保に配備されている海自護衛艦「あさゆき」の乗員のパソコンから多数の海自機密データがインターネット上に流出しました。「あさゆき」の海曹長(通信員)が艦内の電信室内にあるパソコンのデータを無許可でCD−Rなどにコピーし、ファイル交換ソフトWinnyが入っている自宅の私用パソコンに取り込んでいました。このパソコンがソフトを狙ったウイルスに感染したためデータが流出したといいます。

 毎日新聞では次のようなデータが流出したと報道しています。

  •  暗号の解読機とみられる「符号変更装置」の操作手順
  • 「極秘」と記された非常用暗号書や乱数表などの書類の名称と整理番号をまとめた「暗号書表一覧表」
  • 「秘」とされる数字を羅列した着弾目標を示す「側方観測換字表」や、自衛艦のコールサインをまとめた表
  • 何らかの船舶の追跡記録
  • 090で始まる電話・ファクスなどの約130の「船舶電話番号」や「衛星電話番号」などのデータ
  • 護衛艦「あさゆき」の約40人分の隊員リスト(本籍地や住所地、家族構成のほか最終学歴や宗教の項目も)
  • 「あさゆき」の「非常呼集連絡網」「艦内作業予定」「個人配置表」「勤務表」など多岐にわたるデータ。

 防衛庁は2月24日、私有パソコンからのデータ流出を防止するため、緊急の対策として次の事項を実施することを発表しました。

  • 職務上使用する私有パソコンについて、ファイル共有(交換)ソフトの削除を確認
  • 私有パソコンに保存されている業務用データについて、秘密の情報・必要のないデータを削除
  • 現在、許可を得れば職場において私有パソコンによる秘密の情報の取扱いが認められているところ、これを全面禁止

 ずさんとしか言いようのない事態です。よりによって一番機密保持が求められる部署の通信員が私有パソコンから機密情報を流出させたのですから。「仕事」として無許可でデータを持ち出したこと。音楽データを入手するためにファイル交換ソフトをインストールしていたこと。ウイルスに感染したこと。いずれも「危機管理」意識の欠如によるものです。昨年11月には自衛隊病院の患者の個人情報が、今回と同じように流出し、業務用データの自宅持ち出し禁止の通達を再徹底を図ったばかりでした。施設庁の談合問題をはじめ、自らの「危機管理」をできない防衛庁が「省」への昇格などもってのほかです。