米イージス艦入港拒否を貫け
「連絡会」が県と市へ申し入れ

 2月9日、有事法制に反対する長崎県連絡会と憲法改悪反対ながさき連絡会は、長崎県と長崎市に米イージスミサイル駆逐艦ステザムの入港に対して拒否の姿勢を貫くよう申し入れをしました。あわせて、入港が強行された場合の県民・市民と観光客の安全確保に努めるよう要請しました。

 長崎県への申し入れでは危機管理・防災・基地対策担当の上川秀男総務部理事が対応し、「県としては外務省、総理大臣、米大使館に回避要請をし、知事も直接行って要請している」と述べました。

 申し入れを行った「連絡会」代表は「要請しても効果がないのであれば県の港湾管理権を行使して米艦船の入港を拒否すべきだ」と述べました。これに対して上川理事は「外国艦船の受け入れ決定権は国にある。県には権限が与えられていないので入港拒否はできない。自治体の意向を尊重するよう日米地位協定の改訂を申し入れている」と答えるに留まりました。また「入港回避要請が無視されるのなら、非核神戸方式を取り入れたらどうか」という問いに対しても「非核三原則にたいする国の判断を信用している」という返答でした。

 その一方で上川理事は「歓迎行事などは当然行わないし、県警に対して市民の安全対策徹底を申し入れている」ことを明らかにしました。

 長崎市への申し入れには出口静夫原爆被爆対策部長が対応しました。出口部長は「核疑惑艦船が被爆地に入港することについて、被爆者の思いからすればとうてい許しがたい。みなさんと思いは同じだ。再三再四回避要請を行い、市としては精一杯やっている。安全対策については、関係部署に万全を尽くすようあらためて求める」と述べました。


2006年2月9日

長崎県知事 金子原二郎 様

有事法制に反対する長崎県連絡会
憲法改悪反対ながさき連絡会
代表者 原 章夫  

申し入れ書

 県民の平和と安全を守るための貴職のご努力に敬意を表します。

 長崎県は2月7日、横須賀を母港とする米海軍イージスミサイル駆逐艦「ステッセム」が10日から13日まで長崎港に入港することを発表しました。
 知事、長崎市長は、前回につづいて入港回避を繰り返し要請されたにもかかわらず、これを無視して入港を強行しようとする米ブッシュ政権の態度に、私たちは強く抗議するものです。

 ご承知のとおり、米ブッシュ政権は、アフガニスタンにつづいてイラクへの武力攻撃をつづけ、日本各地の米軍基地をその出撃基地にしており、とくに佐世保市は、米戦略の重要基地になっています。そしてイラク攻撃という「戦時下」の米艦船は核トマホーク搭載の疑いさえ濃厚です

 さらに、米ブッシュ政権は、核兵器廃絶にむけたNPT再検討会議の「2000年合意」も無視し、「核兵器使用を含む先制攻撃」戦略を基本に、日本における米軍再編や2006年版「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)では、空母、潜水艦を太平洋に重点配備する立場を発表しました。

 今回の米海軍イージス艦「ステッセム」の長崎入港は、こうした米ブッシュ政権の国防計画の先行実施であり「友好と親善のため」とは、無縁のものと言わねばなりません。とりわけ、沖縄、横須賀、佐世保をはじめ米軍基地のある各地で米軍人による凶悪犯罪が多発しており、周辺住民は大きな脅威にさらされています。

 このような状況下での、被爆地長崎への米艦船入港を、私たちは絶対に認めることはできません。この立場から、以下の点を申し入れます。

  1. 長崎県は、米軍に「イージス艦ステッセムの入港拒否」の態度を表明すること。
  2. 上記態度表明にもかかわらず入港を強行した場合、歓迎行事などを行わないこと。入港中は県民や観光客の安全確保に努めること。

以上