被爆地への核馴らし    
米ミサイル駆逐艦が長崎寄港
県と市の回避要請を無視して強行へ


横須賀に配備されている USS Stethem (米軍ホームページ)

 2月10日、横須賀配備の米イージスミサイル駆逐艦ステザムが長崎港に入港し、午前9時に小ケ倉柳埠頭に接岸する予定です。アメリカはいま「戦時下」にあり、核トマホーク搭載の疑いは濃厚です。

 長崎県知事や長崎市長は外務省、在日米大使館などに、「被爆都市という特質などから、(米艦船の入港は)市民感情に複雑なものがある」と入港回避を要請していましたが、米軍は入港を強行しようとしています。伊藤長崎市長は「核兵器廃絶と恒久平和の実現を願う市民の感情を逆なでするもので、断じて容認できない」、また、金子県知事は「今後も国、米国に県の姿勢を強く訴え、理解を求めていく」と、それぞれコメントを発表しました。

 横須賀では米兵による殺人、佐世保でもひき逃げ、万引き、ひったくりなど、全国で事件が多発しています。今回ステザムの乗員のうち1日あたり255名が上陸するといい、ランタンフェスティバルの最終盤なだけに不安が募ります。「友好と親善」を目的とした寄港であるなら、寄港地の同意が得られない寄港は取りやめるべきです。

 ステザムは「ミサイル防衛」のために05年6月、横須賀基地に配備されました。アメリカは06会計年度までに18隻のイージス艦を「ミサイル防衛」用に改修する計画で、ステザムもその改修計画に含まれています。折しも長崎港の三菱造船所では「ミサイル防衛」に対応できる2隻の新型イージス艦が建造中で、また07年度中に「ミサイル防衛」用に改修が行われるイージス艦「こんごう」が入港しています。

 近年、米軍艦の民間港寄港が増加しています。ミサイル防衛での運用をスムーズにするため、有事の際の強制使用をスムーズに行なうための市民への「米艦馴らし」と思われます。被爆地長崎への入港をそのための「露払い」にしてはなりません。

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