「離島有事」想定した米海兵隊との訓練
陸自西普連の先遣隊が出発

 1月3日午前、「離島有事」を想定した米海兵隊との共同訓練のために陸自西部方面普通科連隊(佐世保相浦駐屯地配備)の約30人が先遣隊として出発したことを共同通信が伝えました。訓練に参加するのは同普通科連隊の一個普通科中隊基幹の125人で、1月9日から1月27日まで、米第一海兵遠征軍が駐留する米カリフォルニア州キャンプ・ペンドルトン基地などで行われる予定です。

 訓練は「占拠された可能性のある離島に上陸し、情報収集などに当たる偵察訓練を実施する。海兵隊偵察学校で偵察泳法を学ぶほか、図上訓練で天候など複雑な条件が絡む上陸作戦の立案ノウハウを習得する」(日経05年12月31日)と言います。いわば敵前上陸訓練を殴り込み上陸を専門とする米海兵隊に「手ほどき」してもらうものです。『朝雲』では「揚陸施設などを活用し、ボートによる潜入など実戦的な戦術も演練。装備は小銃、機関拳銃、機関銃、84ミリ無反動砲のほか、高機動車、小型トラックなど」と報道しています。

 この訓練は本格的な海外派兵型の陸上自衛隊の能力を強化するねらいがあります。それはとりもなおさず、アジアでの軍事緊張を高めることにつながります。同じ日経新聞は、これが「中国軍が沖縄県の尖閣諸島や石垣島などへ侵攻してきた場合を想定」したものとし、「米軍との共同訓練のほか、水中バイクや水に浮くゴム製小銃などの装備も充実する。将来は石垣島などへの部隊配置も検討する」と、対中強化を指摘しています。

 一方、佐世保市議の山下千秋さんが相浦駐屯地の広報に本隊の出発日時と装備の移送を尋ねたところ、西部方面隊(熊本市)に電話をするように言われたそうです。西部方面隊に連絡を取ると、しばらく待たされた後、「本隊は、逐次出発する。7日までには現地に着くようになっている」「装備の移送は、前もって行っている。多分船便だと思う」という回答が返ってきました。

 山下さんは「情報をどこまで明らかにするのか、今後自衛隊にとっても課題になっているのではないでしょうか。自衛隊内部でもどの範囲に明らかにするのか、対外的にも一方で強まる『情報公開』と逆に『軍事機密保持』との関係にまだ整理ができているようには感じられませんでした。今後の情勢の進展によって決まっていくのではないでしょうか」と述べています。

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