長崎港をまたいで女神大橋が開通

 12月11日、長崎港をまたいで長崎市西部と南部をつなぐ「女神大橋」が開通しました。橋の愛称は公募により女神と翼を意味する「ヴィーナスウイング」に決まりました。

 長さ1289m、主塔からケーブルで橋げたをつり下げる斜張橋としては九州最長、国内で6番目(横浜ベイブリッジよりも20m長い)、世界で17番目の長さといいます。二本の主塔の高さは170m,橋の海面からの高さは65m,橋上は片側2車線、両脇に幅3mの歩道があります。

 1991年に架橋が決定し、94年から着工。県が橋と道路部分(上部工)を、国(旧運輸省)が基礎部分(下部工)を建設するという異例の共同工事となりました。上部工の施工は三菱重工を中心とする共同企業体で、起工は02年9月でした。長崎市深堀町にある三菱重工技術本部長崎研究所では模型による風洞実験を行なわれました。当初は06年春に開通する予定でしたが、天候に恵まれ、完成が早まったそうです。総事業費約850億円で、うち約660億円が県の負担です。

 三菱・大島・辻特定建設工事共同企業体が女神大橋2P主塔架設工(木鉢側)を37億6千万円で落札(02年5月)、三菱・佐世保・大島特定建設工事共同企業体が3P主塔架設工(戸町側)を48億6千万円で落札(03年1月)。
 2Pと3Pの下部大ブロックは三菱重工長崎造船所香焼工場から、2Pの主桁大ブロックは佐世保重工業赤崎岸壁から、3P主桁大ブロックは大島造船所から国内最大級の大型クレーン船を使って積み出されました。

 長崎港の両岸には長崎造船所をはじめ基幹産業の造船関連施設が並び、「三菱の仕事次第で車の流れも変わる」ほど、三菱関連の事業所が集まっています。女神大橋の開通によって市西部と南部が直接結ばれ、これまで車で30分近くかかっていた所要時間はわずか6分に短縮されます。あわせて通行量が分散されるため、中心部の交通渋滞緩和が見込まれています。

 通行料金は一般車が100円で大型車は150円、特大車は300円。自転車などの軽車両は10円で、歩行者は無料です。県は今後30年間で、通行料収入を10億円と見込み、時間短縮や事故の減少、燃料費節約などを考えると、40年間で約1400億円の経済効果をもたらすと試算しています。

 計画当時は通行無料を前提に橋の一日の通行量を1万1千台と見込んでいました。しかし周辺臨海工業団地の売れ残り、両岸で構想された港湾施設整備の縮小によって現在は有料のもとで3700台と予測されています。道路は07年度中には新戸町IC(仮称)まで、さらに10年度中には田上IC(同)まで延長され、長崎自動車道に直結する予定ですが、その時点でさえ6700台に留まると見られています。

 12月3日、ひと足早く三菱重工関係者だけの開通プレ・イベントと橋の上のウォーキングが行われました(豪華客船ダイヤモンドプリンセスの竣工の時も三菱関係者だけが船内見学ができました)。一般市民向けに市が企画した4日のイベントは強風雨のために急きょ中止に。また11日の開通直後の4時間は皮肉なことに周辺部で大渋滞が発生。

 現在、女神大橋は霧の日を除いて、日没から午後11時まで163基の発光ダイオードと176基の投光器でライトアップされています。県と市が約2億2千万円をかけて施設を整備しました。