憲法を守るたたかいの前進を
「憲法改悪反対ながさき連絡会」が発足

 10月20日、「憲法改悪反対ながさき連絡会」の結成のつどいが開かれ、約30名が参加しました。

 自民党・公明党・民主党は憲法特別委員会の衆議院への設置を強行し「憲法改正の国民投票法案」を国会に上程する、としています。自民・民主両党が九条第二項削除の方向で足並みをそろえつつある中、国民投票法案が改憲のレールをひくことは明らかです。

 昨年11月に長崎県九条の会が結成されました。その後も日本国憲法を守るという一点で多くの人たちが手をつなぎ、この1年で九条の会は準備会も含めて県下26カ所に広がりました。
 しかし改憲の動きがいっそう進むなか、「憲法改悪を許さない」という市民過半数の意思を結集するにはほど遠い状況です。憲法を守るたたかいを飛躍的に前進させるために、有事法制に反対する長崎市連絡会を発展的に解散し、「ながさき連絡会」の結成となったものです。

 「ながさき連絡会」は「憲法改悪を許さない」という市民過半数の意思結集をめざすために運動体として活動し、各地の「九条の会」などさまざまな団体の情報の提供と各分野、各層の運動の交流をはかることなどを申し合わせました。会長に原章夫さん(弁護士)、事務局長に大塚孝裕さん(長崎原水協事務局長)を選出しました。

 結成のつどいでは長崎県憲法九条の会事務局長の前原清隆さん(長崎総合科学大学教授)が「今こそ9条守れの声を街中に」と題して講演を行ないました。以下、要旨。


 日本国憲法発布時に尾崎行雄は「頭の作り替えには3代かかる」と述べた。しかし頭が作り替えられる前に憲法の方が作り替えられようとしている。

 なぜ自民党は「憲法改正」ではなく「新憲法制定」というのか。それは新憲法と呼ぶことでこれまでの基本条理や独自性を葬り去った憲法を提示しようとしているからだ。また9条改正反対が国民世論としてあるため、国民投票は条文毎でなく一括でしないと否決されるおそれがある。一括とするためには新憲法の方が好都合。もともと新憲法制定は革命や敗戦のときに行われるのが一般的だ。そのため、「いつから自民党は革命政党となったのか」と揶揄される一幕もあった。

 自民・民主ともに9条1項の理念は残し、2項を改正して「自衛軍」を保持しようとしている。これは単に現状の追認ではない。章だてを「戦争の放棄」から「安全保障」に変更し、不戦の誓いを取り外している。字面の上では平和主義を入れているがそれは侵略戦争の禁止だけに矮小化されている。これは1928年の不戦条約の時点に80年も歴史を逆行させるものである。2項には交戦権の否定という歯止めがある。9条は決して死文化していない。だから変えようとしているのだ。新憲法はむしろイラクへの有志連合の追認につながるものだ。また宗教的活動への国の参加を「実態」にあわせて緩和し、靖国神社を自衛隊員を「英霊」として奉るために利用しようと考えている。

 改憲動向に対して「過去と未来に対する私たちの責任」を考えて向かい合うことが必要だ。「不戦の誓いを取り外せば、アジア・ヒロシマ・ナガサキの犠牲者を裏切ることになる」(大江健三郎)1997年のユネスコ宣言「現在の世代は、未来の世代を戦争の惨禍から免れるさせる責任を負う」

 最近の毎日新聞の世論調査では9条を変更することに62%が反対している。これが「9条の会」が全国に広がる下地でもある。たとえ改憲案が上程されても成立を阻止する可能性があることを確信しよう。


「憲法改悪反対ながさき連絡会」申し合わせ

  1. 名称及び構成
    (1)名称は、「憲法改悪反対ながさき連絡会」
      (略称:ながさき連絡会)とする。
    (2)連絡会は、会の目的を支持し賛同する団体および個人によって構成する。
  2. 目的
     国民を戦争に動員する有事法制の発動を許さず、「9条の会」の呼びかけに賛同するとともに、「憲法改悪を許さない運動」と「憲法の値打ちを広げる運動」を長崎市内の草の根から発展させる。「憲法改悪を許さない」という市民過半数の意思結集をめざす。
     そのため、
    (1)職場・地域、学園など草の根からの運動を激励し、網の目の学習運動を推進する。
    (2)「九条の会」の呼びかけ(アピール)への賛同を広げ、草の根の共同をすすめる。
    (3)「九条の会」などさまざまな団体の情報の提供と各分野、各層の運動の交流をはかる。
    (4)必要に応じ宣伝や集会などの行動などをよびかける。
  3. 署名や情報の交流
    (1)各団体が既に取り組んでいる署名用紙を活用し、市民の改悪反対の思いや意思を集約し広げる。署名数は、ながさき連絡会でも集約する。
    (2)運動を推進するため、連絡会ニュースを発行する。
    (3)長崎県平和委員会のホームページに、ながさき連絡会のコーナーを設け、憲法改悪に反対する運動や情報を発信する。
    (4)情報は、ながさき平和委員会又は長崎原水協にメールやファックスにて寄せる。
  4. 運営体制と財政
    (1)会長1名を置き、賛同団体・個人より事務局員若干名を選出し総会にて確認する。
    (2)事務局は、連絡会の日常的運営を担う。
    (3)財政は構成団体の分担金及び募金による。
  5. 事務局
     事務局を、原水爆禁止長崎協議会(長崎市桜町7−7)に置く。