アメリカへの忠誠の証だけの
イラク派兵は直ちに中止を

佐世保平和委員会が陸自に要請

 7月28日、佐世保原水協と佐世保市平和委員会の代表6人が、陸上自衛隊相浦駐屯地(大塚敏郎司令)に対し、イラク派兵を止めるよう申し入れを行いました。代表らは、「イラク派兵は、憲法に違反するだけでなく、外国軍隊の撤去を求めているイラク内外の世論に逆行するもの。人道復興支援といっても最大の目玉とされた給水活動は終わっており、なぜ今イラクへの自衛隊派兵なのか、アメリカへの忠誠の証しだけだ。そのために同じ佐世保市民である陸自隊員を危険な目にあわせるな」と強く抗議しました。対応した橋本敬一総務科長らは「申し入れの趣旨は司令に伝える」とこたえるにとどまりました。

 同駐屯地からは西部方面隊普通科連隊を中心に32人が、警備を任務として派兵される予定になっています。


2005年7月28日

陸上自衛隊相浦駐屯地司令
 大塚敏郎 一等陸佐 様

イラクへの自衛隊派兵中止を求める要請書

原水爆禁止佐世保協議会理事長 山下千秋
佐世保市平和委員会会長    篠崎義彦

 第七次イラク派兵が強行されようとしています。今回は九州各地から約500名、そのうち長崎県から約200名、この相浦駐屯地(西部方面普通科連隊)からも約32名が派兵されようとしています。

 自衛隊イラク派兵には二つの任務があります。ひとつは米英中心の多国籍軍への後方支援です。政府はこれまで、「国連軍(多国籍軍)の任務・目的が武力行使を伴う場合には、自衛隊の参加は憲法上許されない」との見解をのべてきました。「反連合軍・反イラク勢力との戦争を遂行すること」(連合軍機関紙)を自らの任務とする米英中心の多国籍軍への参加は、従来の政府見解にてらしても憲法違反以外の何ものでもありません。

 イラク戦争開始以来 2年数ヶ月、この間どれだけの人々の命が奪われたことでしょう。 昨年十月、イギリスの権威ある医学雑誌『ランセット』は、イラクにおける民間人の死者が十万人を超えたという調査結果を発表しました。その後、十一月から十二月にかけ、ファルージャへの米軍の無差別殺りくが行われ、数千人が殺害されるという大惨事となりました。殺されたのは、ほとんどが女性と子どもたちでした。これだけの犠牲者を出した戦争に、少しでも大義があったでしょうか。

 口実とされた「大量破壊兵器」問題は、真っ赤なうそだったということが、米国当局者によって明らかにされました。

 国連査察団の責任者だったブリクス氏は、うそをもとにイラクを攻撃したのは、中世のヨーロッパの「魔女狩りと同じだ」と厳しく批判しました。現代の「魔女狩り」、この戦争犯罪をおかした米国・ブッシュ政権と、それに無条件支持をあたえた小泉政権にイラク国内外で大きな批判の声があがっていることは当然のことです。「多国籍軍、有志連合」の崩壊もすすんでいます。派兵した三十八の国のうち、撤退もしくは撤退を開始した国はきょうまでの集計で十六カ国、撤退予定または検討している国は四カ国、あわせて二十カ国です。三十八カ国のうち二十カ国です。すでに半数以上が脱落しています。最近、撤兵を表明したブルガリアのマスコミは、「有志連合は死んだ」と書きましたが、まさにそういう事態が進行しています。

 もうひとつの任務は、イラク人道復興支援です。最大の目玉の給水活動は、もう終了しました。最大の口実がなくなって、どうして派兵を続ける理由があるでしょうか。 残る理由はたった一つです。アメリカに対する忠誠の証しを示すという以外に説明はつきません。

 自衛隊の派兵を続けて、イラクの国民と「殺し、殺される」事態になったとしたら、とりかえしがつきません。

 憲法を踏み破った自衛隊の派兵を、ただちに中止すべきです。いま、派兵されている自衛隊を家族のもとに帰すことを強く要求します。何よりも同じ佐世保市民のなかから、戦後守り続けてきた「誰一人外国の人を殺すこともなかった、外国の人に殺されることもなかった」という輝かしい戦後歴史が崩されることは耐えられないことです。悲しい役割りを佐世保市民に押し付けないよう重ねて要求します。