イラク派兵は直ちに中止を
県・大村連絡会が陸自に要請

 7月19日、防衛庁長官から第7次群(隊員500名)のイラク派兵命令が正式に出されました。県内からは大村駐屯地160,相浦駐屯地30,対馬駐屯地10の計200名が派兵される模様です。

 7月20日、有事法制に反対する長崎県連絡会と大村市連絡会は陸上自衛隊大村駐屯地を訪れ、防衛庁長官と第16普通科連隊長に対する「陸上自衛隊のイラク派兵中止を求める要請書」を提出しました。要請行動には大村や長崎から20名が参加しました。

 大村市連絡会の高村代表は、要請の趣旨について説明し、「県内から200人、うち大村から160人の派兵と報じられているがイラク派兵は大義のない戦争への加担であり、『人道支援』についても、給水活動も必要でなくなり、莫大な費用の割には効果的支援も行われていない等、駐留理由が失われている」と指摘しました。県連絡会の大塚事務局長は、「イラクへ派兵されるのは、防衛を主任務とする自衛隊の役割ではない。長崎市内で、今回のイラク派兵についての声を集約したところ、派兵反対が600を超え、派兵賛成は30に満たなかった。圧倒的に派兵反対の声が多く、大村自衛隊員の親族の方も『危険で心配だ』として派兵反対と言っていることことなどを伝え、派兵反対を決断すべきだ」と迫りました。

 応対したのは広報室の森下勝室長で、「具体的にはコメントできないが、要請は確実に防衛庁長官に伝えます」と回答。続いて質問に答える形で「イラク特措法に基づいて19日に派遣命令が出された。期間は3ヶ月」「人選については本人の意思を確認して行った」と述べました。

 イラクでの治安が悪化する一方、という中での派兵ということもあり、狭い部屋でしたが参加した全員を部屋に受け入れ丁寧な応対をしていた、というのが私の印象です。自衛隊員の安全の問題だけでなく、イギリスでの同時テロ事件のように、ブッシュ支援という小泉内閣の決断により国民をたいへんな危険にさらしていることになるのです。改めて、イラク派兵問題を考え、派兵中止を早く実現させねばなりません。

 県連絡会は月末にも昼休みデモなどを計画し、大村市連絡会は、31日に派兵に抗議する集会を開催する予定です。更に大村市では、7月24日に「自衛隊派兵を考える市民ネットワーク」が集会を開き、ワールドピースナウ長崎も25日に大村駐屯地に派兵中止を申し入れることを明らかにしています。諸行動への積極的な参加を呼びかけます。

(有事法制に反対する長崎県連絡会 大塚孝裕)

2005年7月20日

防衛庁長官 様
陸上自衛隊第16普通科連隊長 様

有事法制に反対する長崎県連絡会
有事法制に反対する大村市連絡会

陸上自衛隊のイラク派兵中止を求める要請

 6月9日、陸上自衛隊は「第7次復興支援群」約500人を第4師団からイラクヘ派兵することを発表、その中には大村駐屯地からの160人を含む200人の県内の隊員が含まれ、群長には大村の第16普通科連隊長が任命されると聞き及んでおります。

 そもそもイラク戦争は、国際法を無視した不法な侵略戦争であり、米英が開戦の口実とした「大量破壊兵器」の存在を自ら否定せざるを得なくなった無法な戦争です。このような戦争にわが国の自衛隊がアメリカを支援して派兵されることは、いかに「人道支援」の美名をつけようとも憲法第9条1項に違反していることは明らかです。しかも宿営地サマワが攻撃を受けている事態は、イラク特措法が破綻していることを示しており、もはや自衛隊のイラク派兵はその根拠さえ失っています。このように、国際法、日本国憲法、法律を無視したイラク派兵は断じて中止すぺきです。

 英豪軍に守られながらの自衛隊による「人道支援復興活動」も破綻しています。現地サマワで自衛隊が行った活動は、5万4千トンの浄水・給水(2月5日以降停止)、施設補修50箇所(学校14、診療所7、道路・橋梁22、その他7)、医療支援150回とされています。1日1億円と言う派兵費用でこれだけのことしかできないのは、自衛隊が軍事作戦を行うことに特化した軍隊であり、決して人道支援を行うプロの組織ではないからです。自衛隊の給水活動が停止したのは政府開発援助によってイラクに提供された大型給水施設が稼動したからです。このように、事実上の戦闘地域で外国の軍隊に守ってもらわなくては活動ができない自衛隊の駐留理由は根本から失われています。

 米英をはじめイラク占領軍は泥沼にはまり込んで、身動きできない事態に陥っています。イラク情勢がこのような状態にあるときに、自衛隊員の命を危険にさらしてあくまで派兵と駐留を続けることは、自衛隊の任務を海外でのアメリカとの共同作戦、集団自衛権の行使に格上げする実績づくりに他なりません。「戦争放棄」を国是とするわが国を「戦争をする国」に変えようとする動きでもある今次イラク派兵を直ちに中止することを強く求めます。