佐世保市水道局、渇水でも
米軍基地の給水を減圧せず

 朝日新聞7月10日付は、渇水対策で減圧給水を実施している佐世保市が、米軍基地を対象外としていたことを報道しました。

 6月の降水量が平年の10%程度だった佐世保市では7月2日から一般家庭など9万4千世帯を対象に、水道の圧力を下げて使用量を減らす減圧給水を行ないました。小中学校のプールは週3回を1回にし、また6月26日オープン予定だった総合グラウンドのプールも開業の無期延期を決め、7月6日から温水プールを閉鎖しました。

 一方、米軍、自衛隊なども例外であるはずはなく、「大口需要者には文書送付や職員が出向いて依頼する」(山下千秋議員に対する小原浩己・水道局長の答弁)とのことでした。ところが米軍、自衛隊、ハウステンボス、佐世保重工業の4施設に対しては減圧給水の対象としていないことが分かったのです。この大口利用4施設は給水栓の数が多く、作業に時間がかかる一方で、自前の貯水タンクを持つため、「減圧してもほとんど効果がない」として対象からはずしたといいます。

 確かに7月3日の米軍基地公開の際の、トイレの洗面所の水の勢い、基地内のプールの利用状況など見て、米軍基地は渇水対策についても「聖域」のような感じがしていました。日米地位協定の基づく特別協定(「思いやり予算」)によって基地内の光熱水量はすべて日本の税金によってまかなわれています。基地内の住宅にしても「無料」なわけですから「節水」という感覚は生まれないのが当然でしょう。それに輪をかけて市当局が制限をしないわけですから、ますます「節水」をしなくなるでしょう。 

 佐世保市水道局長の話として「本来なら一般市民と同時に何らかの制限を加えるべきだった」と報道されていましたが、当然すぎるほど当然のことです。

 その後、九州北部は大雨に見舞われ、7月9日、佐世保市の「減圧給水」は解除となりました。