被爆地長崎県の津々浦々へ
「九条守れ」の声を広く大きく


お国言葉で憲法を語る(新日本婦人の会長崎支部)

 日本国憲法公布日にあたる11月3日、「長崎県九条の会」の発足記念のつどいが開かれ、約400人が参加しました。
 呼びかけ人を代表して被爆者の下平作江さんは「私たちの苦しみは私たちで終わりにして欲しい。英知を結集して戦争のない平和への道筋をつくって欲しい」と挨拶をしました
 同じく代表の土山秀夫さん(元長崎大学長)は「すぐ武力に訴える風潮がある今だからこそ憲法九条が必要だ。政府はアメリカの戦争に自衛隊を巻き込もうとしているが、それへの歯止めになる」、また高見三明さん(カトリック長崎大司教)は「時代に対する危機感から『呼びかけ人』を承諾した。祈るだけでなく外に訴えることが必要だ」と述べました(NBCテレビのビデオ)。

 佐世保の山北眞由実さん(長崎県子ども劇場連絡会・代表理事)は、「虐待、いじめなど、戦火の中にいなくても日本の子どもたちは“平和”の中にはいない。子どもたちは『このままだと大変なことになる』とシグナルを出している。人の心に揺さぶりをかけながら連帯することが必要」と訴えました。
 また長崎大学教授の高橋眞司さんは、憲法は押し付けではなく、「もう戦争はいやだ」という国民の声を代弁したものであることを明らかにした上で、「憲法は21世紀の指導原理となる先駆的なもの。しかし民主主義が骨抜きにされ、日本の平和の質が日々悪化している。九条を「改正」して何かいいことがあるのだろうか。もう一度価値を見直そう」と力説しました。

 「大村市九条の会」の谷川成昭さんは、大村で結成するに至った経緯を詳細に語り、「大村は自衛隊の町ゆえ困難さもある。しかし九条を守るうねりが大きくなれば大村の自衛隊員の命を守ることにもつながる」と述べました。
 「九条の会を支持する医療人の会」の哲翁昭邦さんは、医師がこの運動にかかわる思いを次のように語りました。「いのち、健康を守ることが医師の使命だ。戦争末期には医師は従軍させられ、戦争の悲劇を目の当たりにした。あわせて原爆災害を被った被爆地にいる。そして戦争の前には医師は無力である。医師は戦争時には被害者になる。有事体制では自衛隊の管理下に入ることになっている。同時に医師は戦争時には加害者になる。中国での731部隊、ナチスの蛮行に手を貸すなど強制される可能性がある。そして社会保障は軍備拡張と相いれないのは歴史的事実だ」

 最後に、これから大小の集会や学習会を持つなど、運動を広げていくことを確認し、閉会しました。