米軍基地への立入許可取消の件で

公開質問状を米軍に提出

 米軍佐世保基地内に重油汚染土壌が大量に放置されている可能性があるとして、2人の佐世保市議が基地内への立ち入りを申請を行ない、一度は許可されたものの取り消しとなり、外務省を通すようにと指示をうけました。
 しかし佐世保市議の山下千秋さんらがおこなった一連の手続きについては、外務省も正当なものと認めたのです(2月23日、日本共産党小泉親司参議員が確認)。そして山下千秋さんは23日に佐世保基地に対して、(1)一度許可になったものがなぜ取り消されたのか、(2)外務省への手続きはどのようにするのか、(3)その手続きの根拠は何か、について文書での回答を求めました。同日、佐世保基地広報官からは、直前のキャンセルについてのお詫びと在日米軍司令部から「環境に関する視察、もしくは調査目的の立ち入り申請は外務省を通じて行なっていただきたい」と指示を受けたこと、在日米軍への入門手続きの方法はわからない、との回答を寄せてきました。

 米軍は許可取り消しの根拠を何ら示すことができません。環境問題ということで例外規定を適用しようとしているようですが、もしそうだとしても、それは許可決定以前に適用すべきであって、決定通知を行った後ににもちだすこと自体が不当です。
 山下市議は、当初立ち入りが予定されていた24日に「公開質問状」を手渡す旨を佐世保基地に伝えましたが、基地側はこれを拒否しました。そこで同日急きょ記者会見を開かれ、これまでの経過をマスコミに明らかにするとともに、地位協定の「運用の改善」さえ無視する米軍の横暴さを批判し、下記の公開質問状を発表しました。


米海軍佐世保基地司令官
マイケル・L・ジェームス大佐 御中

公開質問状

2004年2月24日
佐世保市会議員 橋本純子
佐世保市会議員 山下千秋

 1月20日に、米海軍佐世保基地司令部に対して、汚染土壌調査のために基地内立ち入りを申請したところ、2月19日に、「24日午前11時から約30分程度」立ち入り許可の回答を受けました。ところが翌20日に、手続きのやりなおしを求めるFAXを受け取りました。「立入り直前のキャンセルに対しお詫び申し上げます」とのことでありますが、1996年12月2日の日米合同委員会合意「合衆国の施設及び区域への立ち入り許可手続き」にもとづいて申請をおこない、許可されたものである以上、それですまされるものではありません。ことは日米合同委員会合意という日米とりきめの存在が問われる問題です。よって以下の諸点につき、誠実なご回答を求めるものであります。なお回答は、三月二日までに佐世保市俵町1− 14、山下千秋事務所までに文書で送付していただきますようにお願いいたします。

  1. わたしたちは、日米合同委員会合意「合衆国の施設及び区域への立ち入り許可手続き」(1996年12月2日)にもとづき、1月20日立ち入り許可申請をおこない、2月19日に許可の通知を受けました。
    わたしたちは地方議員であり、合意の「3手続き」の(d)が適用されます。
    (d)は「分類IIIの立ち入りのため申請は、立ち入りを予定する施設及び区域を管理する合衆国の軍人に対して行う」と規定しています。わたしたちは、この規定にもとづき申請しました。わたしたちのこの申請は正当な手続きを踏んだものではなかったのですか。
  2. 立ち入り申請から約1ヵ月間、わたしたちの立ち入りを許可するかどうか、十分な時間と米軍機関内の検討を経て許可の結論が出されたものと思いますが、そうではなかったというのでしょうか。
  3. 当該日米合同委員会合意は、許可通知したものを、のちに撤回するという規定はありません。合意のいかなる規定を根拠にして許可を撤回できるというのですか根拠を明らかにしてください。
  4. 2月20日の米海軍佐世保基地司令部渉外総務室より送付された文書には、「正式な手続きをもう一度踏んで頂くことになります」とありますが、一度許可した決定にもかかわらず、再申請を求める根拠は、当該合意のどこにあるのですか。
  5. どこから見ても、正当な手続きにのっとって行われた以上、立ち入り許可こそ自然な措置であり、「許可取り消し」「手続きのやりなおし」などをもちだすことは、法やルールを無視する暴挙と批判されてもしかたのないことではないでしょうか。
    直ちに「許可取り消し」「手続きのやりなおし」などの態度を撤回して、わたしたちの基地内立ち入りを実行させるべきではないでしょうか。