平和委員会が運動の先頭に
ながさき平和委員会が定期総会ひらく

 6月19日、ながさき平和委員会の定期総会が開かれ、山下千秋さん(佐世保平和委員会)が「イラク戦争、有事法案と佐世保基地」というテーマで記念講演を行いました。大型の台風6号の影響もあり、参加者は20名余りにとどまりました。
 議事では、イラク戦争阻止・有事法制許すなのたたかいでは少なからぬ会員が奮闘したことが紹介されました。その一方で、平和委員会の独自の活動に参加する会員が少なく、親しみある身近な平和委員会にするための努力が求められていることが指摘されました。若い世代の入会者も増えており、例会を中心に多彩な学習活動を展開すること、平和を脅かす悪法の阻止や憲法擁護のための運動に積極的に取り組むことなどを掲げた方針を確認しました。
 会場からは、これまで別々のように見えていた原水爆禁止の課題と平和の課題が今は垣根なく運動ができている。「イラク戦争反対」の行動・署名にみられた長崎の若者たちの声に確信を持って運動を進めていきたい、といった意見が出されました。


(記念講演要旨)

 政府与党はイラク特措法案国会に提出した。これは(1)イラク戦争を正当化して占領を支援する、(2)戦闘地域へ初めて地上部隊を派遣する、という重大な問題をはらんでいる。その背景にあるのは日米同盟を地球規模で展開し、自衛隊派遣を恒久化するという狙いである。
 イラク戦争はアメリカが平和のルールを踏みにじる国家安全保障戦略を初めて実行に移した無法な戦争であり、「次」もありうる。日本政府はどんなに無法であっても無条件にアメリカを支持し、協力することを世界に宣言した。

 自衛隊が地球的規模で米軍を支援できる「周辺事態法」の制約は、(1)戦闘地域へは行けない、(2)武力行使を行えない、(3)自治体と国民の動員を強制できない、ことであった。有事法制はこれらの制約を取り払うものである。それでも交戦権はない。

 イラク戦争に際して佐世保基地は2つの役割を担った。一つは弾薬・燃料の補給、艦船の修理、乗組員の休養。弾薬補給艦キラウエアが弾薬輸送、熊本の民間業者による輸送、長崎バスを利用した観光。もう一つは北朝鮮にも対応できる体制を敷いた。揚陸艦部隊は北朝鮮をにらんだ米韓、日米合同演習を実施。戦闘補給艦サクラメントが佐世保基地と演習地を往復した。
 基地機能の増強も進んでいる。空母も接岸可能な新岸壁、近代史上初の外国軍隊への弾薬庫建設、倉島地区の全面改修、LCACの新駐機場などなど。
 ミサイル防衛でも佐世保基地が大きく加担することになる。米軍が保有する2隻のミサイル追尾艦は佐世保を準母港としている。海上自衛隊が保有するイージス艦4隻のうち2隻が佐世保配備で、さらに新型イージス艦も佐世保に配備予定である。
 被爆県ナガサキのもう一つの実相を見なくてはならない。長崎港は佐世保基地を補完する役割を担っている。米軍の民間空港利用数は長崎空港が全国1位で、佐世保基地の空港の役割を担っている。自衛隊施設数は全国2位、軍需生産は全国1位である。
 イラク戦争をめぐる国際反戦平和の世論と運動はまさに「スーパーパワー」であった。
日本を守るためには意見が分かれていても、無法な戦争に参戦する法律はいらないという点ではほとんどの国民は一致するだろう。佐世保でも平和委員会は署名活動を行っているが、「自衛隊員は正面切って戦争反対といえない。皆さん方の運動が励ましになっている」との声も寄せられている。
 調べて、学んで、知って、知らせる、平和委員会の活動が今こそ求められている。