いよいよ福岡高裁も6月27日で結審を迎えます。
私はだんだん気持ちが落ちつかなくなっていろんな事が頭をかすめます。でも私には32万被爆者とこの裁判を支援して下さる大きな支えの中で頑張れております。全国の皆さまから50万署名とともに励ましの手紙をいただき人々の暖かさを実感しております。
50万署名ではほんとうに皆さまにお世話になり、ご迷惑をかけてと心苦しく思います。でも何よりも私はこの裁判に勝ちたいのです。
私のこの障害を原爆のためと認めさせたいのです。52年間、原爆の被害をがまんしろという国の間違った被爆者行政を改めさせたいのです。そしてふたたび被爆者をつくりださない証を打ち立てたいのです。
最終準備書面(補充2)
松谷さん側が提出した澤田意見書(甲第125号証)に対する反論。DS86の正当性を主張。遠距離被爆でも起きている急性症状については触れずじまい。
乙第52〜54号証
原爆症に関する調査研究報告書 1990〜92年度
原子爆弾による放射線の評価検討委員会分
財団法人 日本公衆衛生協会
乙第55号証
A Systematic Study on the Neutron Skyshine from Nuclear Facilities Part 1. Monte Carlo Analysis of Neutron Propagation in Air-over-Ground Environment from a Monoenergtic Source (T.Nakamura and T.Kosako; NUCLEAR SCIENCE AND ENGINEERING,77 (1981))
[訳文]
核施設における中性子スカイシャインに関する系統的研究(第1報) 単エネルギー源における空中輸送中の中性子輸送のモンテカルロ分析
乙第56号証
Is There Reliable Experimental Evidence for a Chromosomal "Fingerprint" of Exposure to Densely Ionizing Radiation? (M.Bauchinger and E.Schmid; Radiat. Res.,147 (1997))
[訳文]
電離密度の高い放射線に被曝したことの「フィンガープリント」となる染色体の存在を示す信頼できる実験結果はあるのか
乙第57号証
A rapid method for measuring pericentric inversions using fluorescence in situ hybridization (FISH) (J. N. LUCAS et al; INT. J. RADIAT. BIOL.,71 (1997))
[訳文]
蛍光インシチュー雑種法(FISH)を用いた動原体を含む逆位の簡便な測定法
甲第125号証
DS86体系適用についての意見書(名古屋大学名誉教授 澤田昭二)
[概要]
広島・長崎の被爆者が浴びたと考えられる原爆放射線量を推定する「DS86」は1986年に作成された段階でも実測値と一致しない部分があることが指摘されていた。そこでDS86が発表されて以降に行われた、ガンマ線と中性子線量について、物理学的研究成果と人体への影響を直接研究した生物学的研究成果について検討した。
瓦に残された痕跡からガンマ線量の測定した結果は遠距離ではDS86の2倍にもなり、これはDS86が中性子線量を実際より低く推定している可能性を示唆する。一方、中性子線量についての測定値は近距離ではDS86より小さく、遠距離になればなるほど大きくなっている。たとえば1500mで10倍になり、2000mでは100倍、2500mでは1000倍になる傾向を示しており、DS86が中性子線量を過小評価している可能性がある(甲126号証)。さらに広島の被爆者の染色体異常の研究から、900〜1450mで被爆した広島の被爆者の人体への影響のほとんどは中性子線によるものであることがわかった(甲127号証)。
このようにDS86が実測値と一致せず、とくに中性子線量が過小評価されているなど、DS86体系に系統的な誤差が存在することは明らかであり、その見直しが迫られている。
甲第126号証の1・2
RESIDUAL 152Eu AND 60Co ACTIVITIES INDUCED BY NEUTRONS THE HIROSHIMA ATOMIC BOMB (K.Shizuma et al.; Health Phys., 65 (1993))
[訳文]
広島原爆の中性子により誘導された残留放射能152Euおよび60Co
甲第127号証の1・2
Direct Biological Evidence for a Significant Neutron Dose to Survivors of the Hiroshima Atomic Bomb (David J. Brenner; Radiat. Res.,145 (1996))
[訳文]
広島の被爆者が受けた相当量の中性子線量にたいする生物学的な直接的証拠
甲第128号証
毎日新聞 1997年1月23日付け記事
「被ばく線量計算式を変更へ 原爆症認定に影響」