2001
日出生台現地情報・監視センター 遠入健夫

No.1No.2No.3No.4No.5

過去の日出生台だより 1999年 2000年


No.1 01.2.8

機能強化された日出生台で
3回目の移転演習が始まりました
〜〜〜白い閃光発する特殊砲弾使用か〜〜〜

 2月8日日出生合演習場で、3回目の在沖縄米海兵隊の155ミリ榴弾砲による実弾砲撃演習が開始されました。

 日出生合演習場は、2年間で約32億円もの血税が投入されて、300人収容の宿舎や食堂、厨房、シャワー室の新設、着弾監視装置などが整備され、演習場を取り巻く県道沿いにはコンクリート製の杭に4本のワイヤロープを通した柵が設置されるなど、米海兵隊の恒久化的な演習基地としての機能が大きく強化されました。また、周辺住民への「補償立退」という事実上の「住民追い出し」の策動もさらに強化されようとしています。

 こうした新たな情勢の中で迎えた3回目の移転演習は、前3回の演習と同様射撃時間は午前7時から午後9時までと言う以外具体的な情報の開示はありませんでした。

 今回の演習で、これまでの演習との変化は、第1に実弾射撃に関する情報の管理などが強化されたのか演習場内を盛んに行き交いしていた車輌が全く見られなかったこと、第2にこれまでは、榴弾砲4門を持ち込み1門は予備として実際には3門だけで射撃していましたが、今回は持ち込んだ4門全部を使用して射撃を行ったこと、また、13時59分から7分間で21発連射したこと、第3にこれまでのすべての射撃では見られなかった、発射時に黄色い閃光を発する砲弾が79発の発射弾数中12発が確認されたことなどでした。

 3回目となる今回の演習は明かにこれまでの演習と様相が違います。多くの人達に現地で自分の目で演習の実態を確認していただきたいと思います。

 日出生台に足を運んで下さい

 初日の演習の模様から、今回の演習は前2回と様相が違います。演習全体をしっかり監視するために一人でも多くの人の監視行動への参加が求められます。今年の日出生台は気温は少々低いですが、例年になく雪も少ないようです。是非監視行動にご参加下さい。

演習1日目の発射弾数;午前27発(初弾10時5分)
           午後46発(午後2時7分まで)
           夜間 6発(午後8時20分〜8時48分)


No.2 01.2.10

自治体議員らが実弾発射
日出生台の議員らの公開演習で

 地元テレビの報道によると、移転演習2日目の2月9日に行われた自治体関係者への公開演習の際、海兵隊員が公開演習に参加していた町議らに155ミリ榴弾砲の引金(綱を引いて発射させる)を引かせ実弾射撃に参加させていたことが明らかになりました。

 軍事演習中の実弾射撃に、民間人を参加させることは法律に違反することは勿論、沖縄からの移転演習にあたって、海兵隊の責任者は、演習は最高の規律をもって、住民への安全第一に行うと繰り返し表明してきたが、公開演習とは言え、危険な実弾射撃に自治体関係者を参加させるなどという行為は断じて許されるものではありません。

実弾射撃演習を直ちに中止し
  本土への移転演習すべての中止を

 福岡防衛施設局の広瀬現地対策本部長は、「アメリカ側は問題ないとしているが、不適切な行為なので米側には今後はしないように申し入れた」と語っていたが「不適切」などということで片付けられる問題ではない。

 自治体議員らに実弾射撃に参加させることが「問題はない」とするような米海兵隊は直ちに日出生台での演習を中止し、全ての移転演習を撤回すべきです。

終了時間間際に集中する夜間演習

 3日間の監視行動を通じて特徴的なことの一つに、夜間演習が演習場の使用協定で定められている終了時間である午後9時間際に集中していることです。特に初日は午後2時7分以降中断し、午後8時20分に再開し射撃が終わったのは8時48分でした。2日目は3時間の中断の後、午後8時29分に再開し、終了は8時48分でした。

 地元の人達は、射撃を中断しているときに射撃以外の演習をしているのであれば、射撃を先にして、その後に射撃以外の演習をすればいいのではないかと言っています。

◎2日目の発射弾数;午前 42発(初弾8時2分)
   (2月9日) 午後 10発(15時55分〜16時37分)
          夜間  8発(20時29分〜20時48分)

◎3日目の発射弾数;午前 17発(初弾8時5分)
   (2月10日)午後 28発(14時05分〜15時45分)
          夜間  5発(18時21分〜20時50分)


No.3 01.2.14

13時50分以降発射なし
射撃終了合図は20時56分

 今回、夜間演習が長時間中断の後、午後9時の演習時間終了間際に集中していますが、4日目の12日の演習では、午後1時50分の発射後日が暮れても発射せず、監視センターでは「今日はもう撃たないのでは」との声が出始めたが、射撃終了合図のサイレンが鳴らず、監視センターでは暗闇の演習場を凝視い続け、着弾音を聞き逃がすまいと耳をそばだてる時間だけが過ぎていった。20時50分ころ監視センターの下にある「歩哨小屋」で光が動き始め、突然演習場内に射撃終了を告げるサイレンが鳴り響き、夜間の射撃はないままこの日の演習は終わった。

 昨年までは7時から21時まで射撃と発表し、昼間は撃たずに夜間からいきなり始める事はあったが、今回のように午後2時以降全く撃たずに、演習時間直前まで住民に長時間緊張を強いることは、「夜間演習が住民に迷惑をかけていることは承知している」と言いながら、午後9時までは何をしようと米軍の勝手、住民の迷惑など意に介していない米軍の本質を明かにしたものです。

現地調査団の訪問で監視小屋に活気

 演習4日目の12日(振替休日)、福岡、小倉北・南、京築、山口県の徳山、岩国の平和委員会のみなさん、熊本の青年たちなど各地からたくさんの方々が現地調査に訪れました。演習場を見下ろす監視センターの前で激しい実弾射撃の轟音を聞きながら、日出生台の歴史や海兵隊の移転演習の実態について説明を聞きながら交流しました。参加者は一応に演習場の広さと大きさに驚き、沖縄県民の「痛みを分かつ」ものではなく本当は米軍がこの広い日出生台で演習をしたかったのではないか。と怒りの声を上げていました。
 4人のグループで監視センターを訪れた大分大学の学生は「なぜ米軍がわざわざ沖縄からここまで演習に来るのか」と質問し、沖縄の米軍基地問題や安保条約のことなど議論が弾みました。

◎4日目の発射数;午前 27発
         午後  5発(最終発射13時50分)
         夜間  0発(終了合図20時56分)
◎5日目の発射数;午前  0発
         午後 24発(最終発射17時23分)
         夜間  0発(終了合図20時30分)

日出生台での民間人射撃に抗議し、海兵隊の本土移転演習の中止を求める抗議電話、FAXを集中して下さい。
福岡防衛施設局現地対策本部
Tel 0977-84-3413 Fax 84-3249


No.4 01.2.15

短い射撃時間・
演習場内で何が?

 3日目までは前回までと同しペースで射撃を続けてきていたが、町議ら民間人に射撃をさせたことが明らかになり、新聞等で一斉に報道された12日(4日目)から2日間は夜間射撃はなく、4日目から6日目まで3日間の射撃数も101発で、1回目の155発、2回目の161発に比べても大幅に減少しています。

 民間人を射撃に参加させたことで海兵隊の内部で何らかの変化が起こっているのか、それとも射撃以外の訓練例えばNBC対応演習や夜間の砲座移動訓練、もしくはもっと実戦的な戦闘訓練などが行われているのか、いずれにしても3回目にして演習内容が変化していることは確かなようです。

日出生台では民間人に射撃を
原子力潜水艦では民間人を操舵室に

 米海兵隊が日出生台で民間人に155ミリりゅう弾砲を射撃させ、海兵隊の規律の乱れと住民への安全が大きな問題になっている最中に、ハワイ近海で発生した米海軍の原子力潜水艦の漁業実習船への衝突沈没事件で、潜水艦に同乗中の民間人が操舵席に座って操作していたことが明らかになりました。

 米軍の軍事演習とはいったい何なのか、原子力潜水艦事件は訓練ではなく「潜水艦ツァー」だと言われている。日出生合での海兵隊の実弾射撃演習も沖縄とは比べようもない広大な原野で「観光」気分で射撃演習を行っているのではないのか。とさえ思えてくる。

 「むしゃくしゃ」して放火をくりかえすような米海兵隊は一日も早くアメリカに帰っていただこう。

◎6日目の発射数;午前 22発(内不発弾2発)
         午後 18発
         夜間  5発(終了合図20時53分)


No.5 01.2.17

3回目の移転演習が終わりました
8日間343発 夜間演習は4日間

 在沖縄米海兵隊の日出生合演習場での3回目の移転演習が2月8日から行われていましたが2月16日、8日間の演習を終了しました。8日間の発射弾数は343発で夜間演習(午後6時から9時まで)は4日間、24発でした。

 今回の演習では、発射弾数、夜間演習(日数・弾数)とも前2回より少なくなっています。一部には発射弾数などが減少したことを「自治体や住民の要望が米軍に届いた」と評価する向きもありますが、現地での監視活動をとうして見えてきたものは、そう単純に評価できるものではありませんでした。

 演習の目的・内容に変化か?

 今回の演習では前2回と演習の目的・内容に大きな変化があったのではないかと思えるものでした。外形的には持ち込んだ4門の榴弾砲全部を8日間通じて使用したこと、発射時に光を発する砲弾が使用された(夜間合め30発確認)こと、榴弾砲4門が隊列を組んで発射地点から着弾地あたりまで?往復するという行動があり、それに合わせるように小銃?が数回射撃された。砲座の移動が少なかったこと、砲座の移動もないまま長時間射撃せず、午後8時半ころから射撃を再開したり、射撃しないまま9時直前に演習終了合図のサイレンを鳴らす。その間演習場内で何が行われているのか不気味な沈黙が続いた。また、前回まで演習場内に多く見られた観測所?や観測機器?らしきものが少なくなっていたことなど、実弾射撃中心の演習から何か質的な変化があったものと考えなければならないと思います。夜間の実弾射撃は4日間だったが、演習場内は7日目までは午後9時運くまで「射撃中」だったのです。

最終日4分間に25発連射

 今回の演習では、今まで見られなかった様々な動きを目撃したりしたものですが、最終日の16日午前9時8分から12分までの4分間、吹雪で発射地点が全く見えない中で25発連射、特に9時8分から1分30秒間の16発連射は発射音と着弾音が同時に場内に響き渡り監視センターでのカウントは大変でした。

最終日(2月16日)の発弾数
    ;午前 32発(最終発射9時12分)
     午後  0発(終了合図10時33分)
     夜間  0発

8日間の通算発射数
  8日 9日 10日 12日 13日 14日 15日 16日
午前 27 42 17 27 0 22 16 32 183
午後 46 10 28 5 24 18 5 0 136
夜間 6 8 5 0 0 5 0 0 24
79 60 50 32 24 45 21 32 343