第12章 最後に夢を叶えよう
わたし達はとりあえず、大会プライズライブを終えて、6人でお茶をしている。
「そっか、ここ閉店なんだね」
「さびしいね」
「でも、最後まで悔いのないよう楽しもうね」
「もちろん!最後に「やりきった!」と笑顔で言えるようにしたいね」
「あみ、珍しく良い事言ったけど、何かの受け売り?」
「ひどいな。まぁ、確かに受け売りみたいなモノだけど」
「で、どこからネタを持ってきたの?」
「ほら、パラジュク行った時、山手線にラッピング広告で載ってたバンド覚えてる?」
「ポッピン…なんとかにゃ?」
「Poppin'Partyだね」
みぃのコメントをれみが補足する。
「そう。あの広告が気になって、ちょっと調べていたら、デビューしたかったライブハウスの出演オーディションで最初ダメだった時、ライブハウスのオーナーさんに「やりきったのかい?」って聞かれて、そこから自分達のやりたい事を考えたってエピソードが載ってて、なんかカッコいいなって」
「とりあえず、みんな、あと、これだけはやりたいって事を挙げていって、順番にやっていこうか」
「みんなの夢を叶えるシリーズか。面白そう」
「夢は見るものじゃなく、叶えるものって誰かが言ってたしね」
「S4の人だね。アイドル学校のトップのユニットの」
「あ、聞いたことあるとおもったらアレか。テレビで見たわ」
「じゃ、まずはお姉ちゃんからかな。一時帰国中の今日しか実現できないし」
「あ、数に入れてくれるの?ありがとう。じゃあね…」
「何だろう?」
「チームコーデ、一度くらいは一緒に着たいかな」
確かに、5人のチームコーデはいくつか作ったけど、6人はないか…
「カフェのやつなら、トップスとボトムスの組み合わせでまだパターン増やせないかにゃ?」
確かに、スイーツカフェコーデはわたしのコーデをベースに、ゆうきとみぃはトップス、れみとさなえはボトムスを変えている。
「みぃちゃんのトップスとさなえちゃんのボトムスの組み合わせにしようかな」
「いい感じ!」
「アクセとシューズは全員共通だけど、あみのコーデと全然形が違って面白いね」
「戦隊物でも、ちょっと違う感じの6人目キャラが途中参戦とかあるしね」
「でも、キュウレンジャーは最初から9人だよ」
れみが横槍を入れる。そういえば、このまえ親戚の子とショーを観に行ったんだっけ。
「じゃ、追加キャラはいないんだ」
「隊長とか見習いとか先代の生き残りとかも変身して、12人で戦ってたみたいだけど…」
野球でもサッカーでもできる戦隊だな…
「でも、ドリシアは5人だよね」
「問題はないわ」
「え?」
突然、パプリカ学園中等部の制服を着た、髪をポニーテールにした眼鏡のコが入ってきた。
「誰ですか?」
「私の計算によると…」
わたしの質問に答えるでもなく、そのコは廊下に手を伸ばした。ちょうど、ライブを終えたばかりのゆいが通りかかった。
ウェイターバニーコーデが似合ってて、さすがは本職のプリパラアイドルだなぁ。
そのコはゆいの腕をつかむと、そのままわたし達のところへ来た。
「ちょっと、みれぃさん、ユメ痛い!」
「あ、ごめんなさい」
みれぃと呼ばれたコはゆいの腕を放す。…って、みれぃ?
「あまりに急だったので、プリパラチェンジしないで来てしまったわ」
「あの、「ぷり」のみれぃさん…ですか?」
「普段の私は学校の風紀委員長。そんな事は今はどうでもいいわね」
みれぃは話を続ける。
「私がゆいと先導をすれば、ランウェイの6人メイキングドラマはチームコーデの6人でできるわよ」
「何がどうなったかユメわからないけど、あたしもユメ協力するね」
「さすがは計算キャラのみれぃさんにゃ」
みぃはしきりに感心している。まぁ、このくらいはみれぃさんでなくても思いつく気がするけど。
とりあえず、姉の夢は叶った。みんなで案を出し合って、今後のライブプランを考えなくちゃ。
「まず、あみは聞くまでもなくドリームパレードだよね」
「うん。それに尽きるね。ゆうきはどう?」
「あたしはもう一度やり直したいライブがあるんだ」
「どのライブ?」
「パイレーツコーデで『Pretty Prism Paradise!!!』をやりたい。今度はちゃんとしたシューズでね」
「そっか。わたしとゆうきの初めてのお揃いワンピだったけど、あの頃はシューズが無かったもんね」
「だから、あのライブをフルコーデでやりきりたい」
「3人目はどうするにゃ?」
「じゃ、みぃに頼もうかな。コーデは貸すから」
「大役をノリで受けることになったにゃ…」
「れみはどう?」
「私は満ち足りてるかな。何かあるかなぁ…」
「じゃ、れみのデビューの時の全員制服ライブの5人版とかは?」
「あ、うん。いいね。私はそれにするわ」
「さなえは?」
「アタシも原点回帰ネタで、バックダンサー仲間と一緒に、みぃとバトポンワンピで踊りたい」
「わたし達もやったことあったな、それ」
「じゃ、あみも参加して、さなえがセンターでどうにゃ?」
「よし、それでいこうかな」
「みぃは?」
「ちょっと厚かましい夢だけど、いいかにゃ?」
「とにかく言ってみようよ」
「らぁらさんたちの映画の再現メドレーがしたいにゃ」
「あ、それいいね。あたしもやりたい」
「アタシも」
「私も」
「じゃ、みぃはセンター固定で、まずはバニーマジシャンコーデで『Realize!』、プリパリコーデで…あ、この曲は選べないから曲は考えるとして、バックを二人ずつ担当。最後に5人でぷちゅうコーデで『ぷりぱら☆ララン』という流れかな」
「決まりだね」
そして、ゆうき、れみ、さなえ、みぃの夢のライブを終え、いよいよパレードの始まりだ。
クマさんをモデルにした派手な電飾のパレード列車が到着する。
わたしはドリームパレードプリンセスコーデで先頭に。春のコーデのゆうきと、冬のコーデのれみはちょっと高くなった両サイドに。夏のコーデのみぃと、秋のコーデのさなえは後ろの車両で後ろ向きに。
いままでの曲のメドレーをBGMに列車が進む。わたしは途中で階段を上がり、ゆうきにタッチする。ゆうきが先頭を味わうと、れみにタッチ。順番に先頭を堪能しようと思ったけど、もう列車はドリームシアターに近づいている。
れみが戻り、わたしも先頭に戻る。
列車がドリームシアターに到着すると、全員のコーデが光り、サイリウムエアリーが出る。わたしたちはそのまま舞い上がり、チャームベルを鳴らした。
パレードが終わり、わたし達全員の夢をすべて実現した。
「やりきったかい?」
わたしがみんなに聞く。
「やりきりました!ありがとうございました!」
わたしを含めて、5人の返事が重なった。
今回のプリチケ
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