第7章 ハロウィンの前に

 何かとあった夏も過ぎ、街中にはオレンジ色のカボチャのお化けが目に付くようになった。わたしはそんな商店街をゆうきとプリパラに向かって歩いていた。
「まだ9月終わってないのに、もうハロウィンムードだね」
「そういえば、ハロウィンライブの後でゲットしたかわいいハロウィンコーデがあったよね」
 ゆうきが思い出したかのように言う。
「去年のネコのコーデが可愛くて、結局使わずじまいだったっけ」
「そういえば、ハロウィンのコーデって何種類あったっけ?」
「自作の以外だと4種類あるよ」
「じゃ、今年の新作ゲットしたら楽しいハロウィンライブ出来そうね」
「なるほど。歴代コーデでドリシアってわけね」
 そんな話をしているうちにわたし達はプリパラに到着した。

 全員揃うと、ゆうきが先ほどのハロウィンライブを提案する。
「みぃは黒ネコが似合うんじゃない?」
「多分、それは全会一致だと思う」
「みぃ自身も認めるにゃ」
「ゆうきは一昨年のお化けとかの付いたコーデがいいんだよね」
「あたしが着てもいいかな?」
「アタシは猫カボチャの魔女っ子コーデが着たいから、かぶらないよ」
「じゃ、私はこのちょっとシンプルなコーデにするね。地獄の散髪屋さんみたいなニーソも面白いし」
 さなえもれみもすんなりコーデを決めた。
「というわけで、あみは頑張って新作ゲットだね」

 まぁ、それは予想通り。それを踏まえて、わたしはある提案をする。
「これ、覚えてる?」
 わたしは取り出したアイテムを見せる。
「サイリウムチャーム?懐かしい!」
「実は、ハロウィンの前に、お姉ちゃんが一時帰国する予定なんだ」
「くみさん、来るんだ。楽しみだね」
「全員で同じステージに立つには、ランウェイライブが最適じゃない」
 わたしがそこまで言うと、れみは意図を察した。
「ランウェイライブは8人。チャームのドレスは8色。面白そうね」
「あと二人足りないにゃ?」
「あ、そこは考えがあるから大丈夫」
「らぁらさんに頼むとか?」
「うん。昨日電話で計画の全てを話して打診したら…」
わたしがそこまで言うと、ゆうきが、
「わぁ、楽しそう!神アイドルに任せて!かしこま☆、って協力してくれることになったって感じかな?」
と、モノマネしながら続けた。
 うーむ。らぁらのセリフ、ほぼ正解だな。らぁらは虹色を持っていて、更に水色についても別ルートで依頼済みだ。
「そんなわけで、虹色と水色は確定。れみは緑色持ってるよね」
「うん。私は虹色と緑色だから緑色だね」
 れみに続いてゆうきは、
「あたしが持っているのは赤色と黄色と虹色だけど、赤色はあみの御用達だからあたしは黄色だね」
「てか、なんで赤色がわたし御用達?」
「れみが、赤色は露出が多いからあみのこむぎ肌に似合うって言ってたじゃない」
 そういえば、そんな話してたっけ。
「ところで、今はチャームにパワーは残っているの?」
「見てみるね。あ、もうすぐ青色だ」
 さなえが、
「じゃ、次のアタシのライブのコーデはそれだね」
「わたしが新作ハロウィンコーデをゲットするために、どんどんライブをするから、さなえの次はみぃが紫色でチャームを使ってね」
「了解にゃ。その後、桃色まで貯めて、くみさんに渡すのにゃ」
「そういえば、あみ、さっき計画の全貌かそんな事言ってたよね。まだ何かあるの?」
「れみってば鋭いなぁ」
「ゆうきほどではないけど、結構付き合い長いからね」
「実はね…」
 わたしは計画の全貌を話した。
「あみ、普通、そっちを先に話さないかな?」
「えへへ」
 実は、他にメインの秘密イベントを画策中だった。秘密ということで、つい話しそびれていた。
「まぁ、いいわ。計画は成功させましょう」

 そんなこんなで、チャームも溜まり、新作ハロウィンコーデも確保できた頃、姉が帰国した。
「お姉ちゃん、一緒にプリパラ行こう。みんなお姉ちゃんに会うの楽しみにしてるよ」
「行くのはいいけど、帰国したらいきなり?」
「ほら、お揃いの衣装も用意したよ」
 わたしはチャームを見せる。
「全く…ワタシが何の為に帰国したと」
 わたしはそれを当然知っているけど、あえてしらばっくれる。
「あ、お姉ちゃん。今日はこの服とかどうかな?」
「ちょっと派手じゃない?」
「大丈夫。似合うから」
 わたしは姉に派手めの服をチョイスする。無論、これも作戦。

 わたし達姉妹がプリパラに着くと、さなえ、ゆうき、れみがいた。ほぼ同時にみぃも到着。そして、更に…
「お待たせのかしこま☆」
 らぁらも到着。
「あみちゃんのお姉さん、はじめましてのかしこま☆」
「はじめまして、らぁらさん。お噂はかねがね」
「えっ?」
 そんなにらぁらの話したかなぁ?
「実は、この前、すごく楽しかったので、一度、プリパリでプリパラに行ってみたら、そこで知り合ったふわりさんから話を聞いて」
「ふわりさん、元気でしたか?」
 さなえが聞く。
「ええ。あ、さなえちゃん、ふわりさんとペアライブしたんだってね」
 そんな話をしているうちに、最後の一人が登場。

 昔から時々チームに参加してくれている助っ人さんだった。
「お久しぶりです」
 彼女には引退のラストランウェイライブ以来会っていなかったので、らぁらに連絡を取ってもらう時は、ちょっと不安だった。実際、あんな引退セレモニーに協力してもらったのに、すぐ復帰したと聞いて、あまり快くは思ってなかったらしい。でも、らぁらやゆいが例の夢喰い騒動で勢いをなくしたプリパラを盛り上げる手助けのために復帰したと聞き、再び協力する事にしてくれたのだった。
「かわいい私服でって聞いたけど、これで良かったかな?」
 良かったどころか、超がつくほどかわいい。
「え?プリパラチェンジがあるのに私服?」
 姉だけは不思議そうにしている。

「それじゃ、ランウェイライブ、行くよ!」
「あれ?コーデは?」
「わたしがなんでお姉ちゃんに派手めの服選んだと思う?」
「まさか?」
「そう。お姉ちゃん、センターだよ。曲は『ラッキー!サプライズ バースデー』私服でスタート!」
「えええーーーっ?聞いてない!」
「聞いてたらサプライズにならないじゃん」

 サプライズは大成功。一応、サイリウムチャーム8色ライブも続けて実施。その後は、カフェでみんなでバースデーパーティー。
「みんな、ありがとう。今までで一番楽しい誕生日になったわ」
 姉は本当に嬉しそうだった。

 姉は今回はすぐにプリパリに帰っていった。
 今日はハロウィン。五人でハロウィンライブだ。
「くみさん、テレビで見てくれてるかな?」
「多分、絶対見てると思う」
「よーし、ライブ、行っくよー!」

「トリック オア トリート!」


今回のプリチケ
  
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