第1章 アイドルタイム再始動カウントダウン!

「あ、お待たせ」
「久しぶり!」
 わたしとれみは、駅でゆうきと合流した。

「想像よりもちょっと遅かったかな」
 ゆうきが言う。
「ごめん。急行と普通の乗り継ぎが最悪のパターンだったのよ」
 わたしは一応弁解する。
「あ、今のことじゃなくって」
「じゃ、何?」
「あみのことだから、5日くらいで禁断症状出すと思ってた。よく半月以上もったね」
「ひどいなぁ。わたしって全然信用されてないの?」
「うん」
 ゆうきとれみが同時に肯定する。
「ひどーい!」

 そんな話をしながら、懐かしいプリパラに到着。わたしたちは久しぶりに中に入った。
 入口でわたしたちは懐中時計をめが姉ぇさんから渡された。
「何だろ?キャンペーンの入場者プレゼントかな?」
「だとすればラッキーだね」

 そして、タウンへと繰り出したものの・・・
「あ、結構すいてるね」
「…ていうか、ちょっと人、少なすぎない?」
「だから時計配ってたとかかな?」
 なぜか、タウンが閑散としている。ハイセンスコーデ祭りの時より人が少ない。
 向こうのほうには昔には無かった時計塔が出来ていたり、景色も少し変わっている。

 暫く歩くと、かわいいけど、ちょっと色っぽい感じのコとすれ違った。
「…ユメ?」
 そのコはわたしを見ると、
「もしかして、この町の神アイドルのあみちゃん?」
 え、やっぱり結構有名人になっちゃってるんだ…
「はい。久しぶりに近くに来たので…」
 わたしが言いかけると、そのコの目がキラキラと七色に輝いて、
「ユメ本物のあみちゃんだ!ユメ会いたかった!」
 と、いきなりわたしの手を握る。
「やる気!元気!寝起き…夢川ゆいです」
 そのコはそう名乗った。
「タキアガリマシタ」
 その時、ゆいの腰のあたりから声が聞こえた。ゆいはポシェットをかけているのかと思ったけど、よく見るとポータブルの炊飯器だった。
「ちょうど、ユメプリカがユメ炊けたから、おにぎりをユメ食べながら話をユメ聞いてほしいんだけど」
「ユメプリカってブランド米ですよね。せっかくだからいただきます」
「それじゃ、友達をユメ呼んでいるので、待ち合わせ場所へユメ移動するね」

 ゆいに案内された場所にいたのは、おだんごヘアの小学生のコ。でも、どこかで見たような…
「あ、あみちゃん!おひさしぶりのかしこま☆」
「え?らぁらさん?」
 そういえばらぁらに似てるんだ。このコ。
「うん。あたしだよ。プリチケが折れたままスキャンしたら、外の姿のままになっちゃって」
 パラジュク最強の神アイドルのらぁらって、小学生だったんだ…

 ゆい達の話によると、ここ最近、この町のプリパラはさびれ気味だという。
 最近はアイドルになりたいという夢が無くなったってコが増えているらしい。
「男プリが繁盛した分、こっちは人が減っちゃったんだ」
「だんぷり?」
「男性アイドルのプリパラだよ」
 うーむ、わたしのいないわずかの期間にずいぶんと色々なことがあったんだなぁ。

 ふと、思い出した。以前、りんねと見た世界の中に男プリがある世界があったなぁ。
「もしかして、赤髪で『マジやべー』とかいう人がいたりする?」
「WITHのアサヒさんの事かな?ゆいのお兄さんと同じグループの人だけど…」
 そうか。この世界にもいたんだ。あの人。
「お兄ちゃんのせいでプリパラがさびれたんだ!ユメムカ!」
「いや、多分、お兄さんのせいではないように聞こえるんだけど」
「それと、もう一つ。プリパラに入った時にこの時計もらったでしょ?」
「うん」
「これにアイドルタイムをユメ溜めないと、ユメライブできないの」
「そうなんだ」
 わたし達は時計を見た。なんか、満タンに見えるんだけど…
「あ、一般客のコは入場で1回分のアイドルタイムが貰えるよ」
 そうなんだ。携帯のゲームアプリのログインボーナスみたいなものか。
「あたしたちもアイドルタイムがMAXだから、今なら5人でライブできるよ」

 え?結局わたしたち、ライブするわけ?大丈夫かな?

「引退したわちしたちがノコノコ出て行ったらドン引きされないかな?そもそも今日コーデ用意してないし」
 わたしのコメントに、らぁらが、
「プリパラは好きだよね?」
「うん」
「じゃ、大丈夫ぷり、ってみれぃが言ってた」
「そうだね」
「MCのフォローはユメ任せて!一緒にライブして、この町のプリパラをユメ守って!」
「私服ライブも危機に駆けつけました感が出ていいかもね」

「今日は、らぁらの他に、もう一人のゆめかわな神アイドルが救世主として仲間と一緒にユメ帰って来てくれたよ!」
 ゆいのMCに歓声が沸きあがる。もともとの人口が減っていることを考えると、殆どの人が見に来てくれているのかな。

「おかえりー!」
「待ってたよー!」
 ありがたい声も聞こえる。これはもう、再始動しかない。

「みんな、ただいま!ライブいっくよー!アイドルタイム、カウントダウン!」

 こうして、わたしは再びプリパラに帰ってきた。


今回のプリチケ

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