第25章 ボーカルドールがいっぱい
その日は、たまたまメンバーの都合が合わず、わたしは一人でプリパラに来ていた。
誰かとライブしたくて、知り合いを探したけど見当たらない。育成キットが流行っているのか、ボーカルドールも時々歩いているけど、シュララも見当たらない。
「シュララもいないか…」
わたしが言うと、すれ違ったファルルみたいなボーカルドールが振り返った。
「あなた、シュララちゃんやれみちゃんのお友達?」
「えっ?うん。そうだけど、シュララやれみを知ってるの?」
「うん。あたしはペェルル。れみちゃんには以前、たまたま声をかけてもらったの」
そういえば、れみがファルルだと思ったら別人だったとか言ってたっけ。このコの事だったんだな。
「それで」
ペェルルが続ける。
「シュララちゃんはこの前のボーカルドール親睦会で席が隣で、れみちゃんのお友達だって聞いたから」
「そうなんだ。わたしはあみ。よろしくね」
「あ、シュララちゃんのママのあみちゃん?シュララちゃんから話は聞いてるよ」
「そうなんだ。じゃ、せっかくだからトモチケ交換して一緒にライブしようよ」
「わぁ。嬉しい!でも、あたしたちはプリチケをパキると眠ってしまうの」
「あ、そうか」
確かに、ファルルもそうだった。
「ロゼットパクトは持ってる?」
「うん。あるけど…」
わたしがロゼットパクトを渡すと、ペェルルはパクトに手を添えた。
「パクトを開けてみて」
わたしは言われるままにパクトを開いた。するとシュララのトモチケの他にペェルルのトモチケが入っていた。
「へぇ。こんなことができるんだね」
わたしが感心していると、ペェルルはどこからともなく3人のファルルみたいなボーカルドールを連れてきた。
「このコは、あたしの親友のワァルル」
ペェルルはペンキバットコーデのコを紹介した。ファルルがベイビーモンスターブランドを着ているのを見たことないのでなんか新鮮。
「で、一緒にいたチャルルとヒャルルも呼んできたの」
「チャルルです。よろしくね」
シェフコーデのコが挨拶する。
ハワイアンコーデのコがヒャルル。コーデを見ないと誰が誰だかわからない。
「じゃ、みんなでドリームシアターに行こう!」
にぎやかなライブを終えて出てくると、中継を目にしたワァルルが、
「あ、あみちゃんだ」
誰かが交換所でホログラメーション録画でわたしを使ってくれていた。センターをよく見ると、以前わたしが交換所で使わせてもらったコだった。
「間接パキりだけど、なんか嬉しいな」
「よかったね」
「ありがとう。みんなともまたライブしたいな」
「うん。またやろうね」
次の日、わたしは昨日話にでたせいで、無性にシュララに会いたくなってプリパラに来てみた。
シュララのようなシルエットが見えたので、そっちへ行ってみる。前に見かけた青い髪のボーカルドールだった。
シュララよりも目つきが鋭い。エターナルパンクコーデが似合ってて、ロックな感じのコだった。
「あ、前にも見かけたよね」
そのコが声をかけてきた。
「覚えててくれたんだ。わたしはあみ。シュララってコに会いたいんだけど」
「ふぅん。あたいはキァララ。あたいのダチなら、そのシュララってコを知ってるかも。一緒に来るかい?」
キァララと一緒に行くと、彼女そっくりのボーカルドールがいた。彼女はパルプスカントリーコーデを着ている。
「クゥララ、あんた、シュララってコ知ってる?」
「たしかピンクの髪のボーカルドールだったかな。知ってるよ」
「こっちのあたいの新しいダチのあみが探してるってさ」
「あ、あみです。よろしく」
「シュララは結構優等生でね。運営サイドの手伝いをしたり、結構忙しくしてるみたいよ」
そうなんだ。結構がんばってるんだな。
わたしはそれがとても嬉しかった。
「ありがとう。あのコが元気にやってると判ったら安心しました」
「なぁ、あみ」
キァララが話しかける。
「折角知り合ったんだ。あたいたちとライブしようぜ」
「ぜひぜひ。楽しいライブにしようね」
そして、ライブが終わると、キァララが、
「あれ、あみじゃねぇか?」
あれ?なんかデジャビュが…
なぜかわたしは昨日と同じコーデのホログラメーションだったが、センターが違う。
よく見ると、逆サイドに昨日の間接パキりのコがいる。そうか、二人は相方で、トモチケを共有して使ってくれているのかな。
「知り合いなら、挨拶に行くんだろ?じゃ、ここでお別れかな。またライブしような!」
「うん。またね」
わたしはキァララたちと別れて、ライブ中のコたちの出待ちをすることにした。
ライブしていた二人が控室に戻ってきた。
「あれ?トモチケの人だ!」
「使ってくれてありがとう」
「こちらこそ。前にトモチケ使ってくれてたよね」
「うん。そちらの方ははじめましてだけど」
「へへ。このコが持ってたトモチケ借りたよ。せっかくだから私ともパキろうよ」
相方のコがトモチケを差し出した。
「もちろん。喜んで」
わたしもトモチケを差し出す。
「せっかくだし、時間あるならライブしようか」
「うん。時間は大丈夫」
そんなわけで、顔ぶれは変わらないけど本当に全員でのライブをしたのでした。
こうしてライブを繰り返していると、時々とんでもないコーデが手に入ることがある。
わたしが手に入れたのは、あの怪盗ジーニアスの衣装、厳密には色違いだけど、だった。
こっそり髪型を変えてこれを着たら、怪盗復活!とかって騒ぎになるかも。
わたしはちょっとした悪戯心から、髪型を変えてコーデを着てプリパラタウンに繰り出した。
そして、3分もしないうちに…
「あ、あみちゃんだ」
ペェルルだった。今日はワンダーランドコーデのコと一緒だった。
「ギャルルっていいます。よろしくね」
相変わらず、全く見分けがつかない。
「すごいね。怪盗のコスプレ、かっこいい!そのコーデで私達と一緒にライブしてほしいな」
・・・バレバレじゃん・・・
まぁ、いいか。このままライブしちゃおうかな。
今回のプリチケ
前へ・表紙へ・次へ