第22章 トライアングル
「あ、来た来た」
わたし達は時間どおりにプリパラのカフェに集合した。
「あみ、面白いことって何?」
そう。わたしは今日は面白いライブを思いついて用意してきている。
「ほら、あのポップ」
わたしはカフェの注文カウンターの方を指す。そこにポップがついている。
「いちごスイーツまつり?」
そう。今、ここのカフェでは色々とおいしそうないちごのスイーツが期間限定で入っている。
「うん。あれで思いついたんだけど」
わたしは3DSを取り出した。
「それってサイリウムコーデをデザインするソフトが入っているんだったっけ。」
「うん。これでいちご柄のコーデを作ってみたらいちごが光って面白かったから、別の分もデザインしてみたんだ」
「へぇ。いちごまつりライブか。確かに面白そうだね」
「ところで、どんなコーデ作ったの?早く見たい!」
わたしは2種類のコーデを見せた。
「わぁ、これ、かわいい!あたし、これがいいな」
「じゃ、私はこっちのにしようかな」
特にもめるでもなく使うコーデが決まった。
「ところで、あみはどうするの?」
「ちょうど、久しぶりにミルコレ買ったら、いちご柄のかわいいコーデが入ってたから、それも使いたかったんだ」
「なるほどね。だから作ったのは2種類なんだ」
「いちごまつりライブ、結構楽しかったね」
「またやろうよ。こういうコンセプトのあるライブもいいね」
「次は何のコンセプトでライブしようか?」
わたしの問いかけに、れみが、
「あみの最初のコンセプトライブって何だったの?」
「え、確か水着だったかな」
「へぇ、大胆」
「結構ドキドキだったよ。逆にそのせいで、同じシリーズの水着をゲットしても、ついその時のばかり使ってる」
「じゃ、次回は「夏を先取り!水着でライブ」みたいなのをやろうか」
まだ初夏というにもちょつと早い時期のれみの提案に、ゆうきが乗ってきた。
「あみは赤と白のボーダーのビキニがお気に入りだったよね」
「うん。黄色系のワンピースと迷ってそっち選んだんだ」
「あたしは逆にそのワンピース持ってるよ」
「私はあみのビキニの色違いを持ってる」
「で、あみはそのお蔵入りさせてたほうの水着でいいんじゃない?」
うーむ、コンセプトが「夏を先取り!水着でライブ」から「追悼!わたしが選ばなかった水着でライブ」みたいになってきた…
「あの時悩んだけど、やっぱりそっちの水着もカワイイなぁ」
「あたしが着てるからかもしれないよ?」
「おー、すごい自信。でも、同じワンピースでも、色が違うと、わたしの水着と雰囲気違うね」
「あ、二人ともワンピだったら、私だけ露出多いじゃない」
「でも、れみはお色気路線で…」
「あんたが勝手に覗いたんでしょ〜!」
「二人とも、ウインタードリームの時のネタをいつまで引っ張ってるの?それも水着ライブで」
適当にふざけてる間、他の会場の中継がモニターに流れていた。ふと、画面を見たゆうきが気づいた。
「あ、あみだ!」
そのコはわたしが交換所に入れたトモチケを使ってくれていた。なんか嬉しいな、と思いつつよく見ると、どこかで見たことあるような…
わたしはトモチケ手帳を開いてみた。やっぱりあった。わたしもそのコのトモチケを交換所で使ったことがあった。
「あのコと間接的にパキってたみたい。ライブの後、挨拶に行ってこようかな」
わたしはライブの後、ゆうきたちと別れて、さっきのコを探そうとショップの方へ走る。ふと見ると手元の3DSに通信ランプがついている。そういえば、3DSの通信でトモチケ交換できるって言ってたな。
わたしは3DSを起動してみた。さっきのコのトモチケが画面に表示されている。ということは近くにいるはず。わたしはまわりを見回した。ピンクのラブリー系コーデのコが誰かと話をしているのが見えた。話し相手はさっきのコだった。
「こんにちは。お話し中にごめんなさい。3DSでトモチケ受け取ったんですけど、使っていいですか」
わたしが声をかけると、そのコは破顔一笑して、
「あ、交換ボードの人!トモチケ使ってくれるんですか?ありがとうございます。でも、せっかくだから一緒にライブしましょう!」
すると、話し相手のコが、
「あ、また会ったね。あみちゃん。あたしもそのライブ、参加させて」
「え?お会いしたことありましたっけ?一緒にライブは勿論大歓迎ですけど」
「え、あー、この姿では初めましてだった。かのぺろ☆」
「この姿?」
「あたし、かのんっていいます。ひょんなことから、属性の違うジュエルを3つ手に入れて…」
かのんが突然じゅのんに変わった。
「…とか、更に…」
じゅのんが次はぴのんに変わった。
「…ということが出来るようになったぴっぴ」
ぴのんは再びかのんに戻った。
「あ、だから、前に会った時は片方がトモチケだったんだね」
「ホログラメーションで一人三役のチーム、トライアングルです。よろしくね」
「すごいね」
「あ、でも、このことは秘密ね。実はお姉ちゃんのチームと今度イベントで対決するから、負けないように作ったチームなんだ」
「じゃ、ここにいる3人だけの秘密だね」
「ということは、3人ライブかと思ったけど、じゅのん、ぴのんが後衛でドリームシアターでやれそうだね」
後日、わたし達はトライアングルの出るイベントの中継を見ていた。
「そういえば、イベントに参加しなくて良かったの?」
「参加の競争率すごいし、エントリー抽選の日、用事あったしね」
「そうなんだ。でも、女神様が着ているといわれるコーデが賞品なんでしょ」
「うん。でも先行で確実に手に入るだけで、そのうちショップに入荷するそうだから、運にかけてみてもいいと思う」
「前回のドリームパレードで、逆に気楽になったかもね」
トライアングルはイベントで残念ながら敗退し、一人三役であることも公表された。
れみやゆうきは、そのことに驚いている様子だったけど、別の理由でわたしも驚くことになった。
「ええーーっ?あのコ、らぁらさんの妹だったの?」
今回のプリチケ
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