第3部 神アイドル編

 第21章 いざ、おおさかプ

 わたし達はライブを終えて、中央の円形ステージで客席に手を振っていた。
 普段なら、ここでステージがせり上がって行くはずだが、なぜか動かない。故障かな?

 とりあえず、プリズムストーンショップに向かうと、コーデが一つしか入荷していなかった。
 わたしはめが姉ぇさんに訊いてみた。
「ランキングは廃止になりました。コーデも1種類で、ランクアップも廃止です。システムでーす」

 セレパラはなくなったけど、他も色々変わっちゃったなぁ…

 とはいえ、わたし達はちょくちょくライブは続けていた。やっぱり、3人でライブするのは楽しいし。
 そして、色々廃止になった中で、マネージャーによるコーデの共用ルールも廃止されたので、わたし達はおそろいライブがやりやすくなった。
 これまでは、同じマネージャーのコからだけコーデを借りることが出来たけど、今後は誰でも貸し借りできる。マネージャーの違うわたし達は、全員が自分のコーデでないといけなかったけど、これからは三人でコーデを一通り揃えれば、お揃いライブも可能になる。
 でも、つい、ここ数日毎日のようにぼやいている話題になる。
「あー、パレードやりたかったなぁ…」
「でも、やり残したことがあるから、私たちこうして今日も集まってるのかもよ」
「確かに、パレードしてハッピーエンドで終わってた可能性高かったもんね」
「でも、今日のコーデって、前にあろまさんが着ていたコーデの色違いなのに、全然雰囲気が違ってて面白いね」
「確かに。あ、そうそう。面白いと言えば、この前、面白い二人組とライブしたよ」
 わたしは三日前のことを思い出した。

 たまたま、その日はひとりでプリパラに来たので、誰かを誘おうとして歩いていると、典型的なクール系のコがいた。
「あ、こんにちは」
「…冷凍マグロ…冷凍みかん…かき氷…」
「えっ…と…」
 なんか冷たいものを連呼している。大丈夫か?このコ?
「私はじゅのん。何か用かしら」
「あ、わたし、あみ。今日、一緒にライブする友達が来てないから、ライブする相手を探してて…」
「いいわ。一緒にライブしましょ。もう一人はこれでいいかしら」
 じゅのんは手にお揃いのコーデのコのトモチケを持っていた。おそろいってことは相方のコなんだろう。
 わたしも持っているコーデだったので、お揃いライブができる。
 そして、ホログラメーションで参加した3人目はポップ系のコだったが、じゅのんに似ている。双子なんだろうか?

 わたしはライブが終わったら、じゅのんにさっきのコのことを訊こうと思ったけど、なぜかじゅのんの姿はない。
「あれ?もう行っちゃったのかな…」
 わたしはじゅのんを探しながらプリズムストーンショップに来た。すると、なぜかさっきトモチケで呼び出したポップ系のコに出会った。
「ぴのん星から来たポップアイドル、ぴのんだぴっぴ」
「こんにちは。わたしはあみ。さっき、あなたの相方さんとあなたのトモチケでライブしたところ」
「じゅのんとライブしたぴっぴ?」
「だから、本人さんが居てびっくりしたよ」
「じゃ、もう一度やるぴっぴ?」
 ぴのんはじゅのんのトモチケを手にして訊いてきた。

「ふーん、なぜか別々にトモチケ持ってる二人組かぁ」
「確かに面白いね」
 わたしの話を聞いて。れみもゆうきも興味深々という感じだった。
「ところで、あみ、おおさかプに行く用事があるんだよね」
「うん。大きなところだし、遠征ライブできたらなと思ってる」
「いいなぁ」
「ちゃんとお土産は買ってくるから。何がいい?」
「ありがとう。何でもいいよ。任せる」
 そう答えるれみにゆうきが忠告する。
「ちゃんと考えたほうがいいよ。あみに任せると、「携帯より大きなたこ焼きのぬいぐるみ付き携帯ストラップ」とか、想定外のものを選ぶ可能性大だよ」
「うーむ、それはそれで笑えるかも…」
「じゃ、「携帯より大きなたこ焼きのぬいぐるみ付き携帯ストラップ」以外で探しておくね」

「ふぅ。とりあえず、任務完了っと」
 わたしは、おおさかプで用事を済ませて、最寄のプリパラを探して歩いていた。
 さすがに大都会。それまでに色々面白そうなお店も多い。
「ついでに、ゆうきとれみのお土産も探さないとね」
 ちょうど、ご当地グッズを売っているお店があったので入ってみた。そして、目についたのは…
「うわ、本当にあった!」
 携帯より大きなたこ焼きのぬいぐるみ付き携帯ストラップが陳列されていた。多分冗談で適当に言っただけのはずだったけど…

 そうこうするうちにプリパラに到着。ついに大都市デビューだ。
 誰かチームメイトを探さなきゃ。大きなところだから、すぐ見つかる…かと思えば、チームで来ている人ばかりだ…
「こんなことなら、ゆうきたちのトモチケ持って来れば良かったな…」
 とりあえず、トモチケ交換所を見る。
「うわぁ…」
 さすが大都市。交換所のトモチケ全部使ったら、学園ドラマでも戦争映画でもキャストを揃えられるくらいの数のコたちのトモチケが入っている。
 中には10枚以上置いてる人もいるし、よりどりみどりだ。わたしは折角だから、私服っぽいコーデをおしゃれに着こなしているトモチケを2枚交換した。
「いつか、ここでも誰かがわたしのトモチケを使ってくれたら嬉しいんだけど…」
 わたしは自分のトモチケは4枚入れた。等価交換とは書いてないし。以前見かけたコと逆の事してるなぁ…

 そして、いよいよエントリーする番がきた。
 料金支払いのところに見慣れない機械があった。
「電子マネーで複数エントリーもできます。システムでーす」
 ううむ。そこまでの常連も多いのか…
 とりあえず、わたしは通常通りにエントリーして、大都市デビューを果たした。
 こうなれば、次の野望が湧き上がる。

 いつかは、パラジュクでライブしたいなぁ…
 

今回のプリチケ
  
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